見た目も声も「人間アナ」にそっくり!中国の放送局「AIアナ」は番組を丸々1本こなした

 のべ90億人が大移動したとされる中国の春節(旧正月)の大型連休が終わった。今年は大気汚染や火災への懸念から禁止や規制されていた爆竹や花火が解禁され、コロナ禍以前にみられたお祭り騒ぎも復活した。大移動により、各地でトラブルも多発したものの、怒涛の8日間が終了したのだった。

 ところで、今回の春節中、中国のある放送局では人間のアナウンサーに代わって「AIアナ」がニュースを読んだ。おかげで里帰りができた、として「人間アナ」が故郷から新年のあいさつをする映像が話題にもなっているという。

「従来のアナウンサーにそっくりなAIアナに番組を託したのは中国杭州放送局です。同局で毎日夕方に放送されるニュース番組『杭州新聞聯播』を2月10、11日の2日間放送したんです。中国ではこれまでにも、ニュース番組の一部にAIアナを活用したことはありますが、ニュース番組を丸々1本、しかも全体の進行をAIアナに担当させたのは初めてだそうです」(中国ウォッチャー)

 件のAIアナは、「高画質3D変換技術」を駆使して作られており、人間アナに、見た目だけでなく声もそっくりだという。そのためSNS上でも、《身振り手振りもそっくりでほぼ違和感がなかった》《全体の構成もよかったし解説も普通にわかりやすかった》と好評で、中には、《このまま進化したら間違いなくアナウンサーも失業するな》との声もあったようだ。ちなみに日本でもNHKのニュース番組中に「AI自動音声」がニュース原稿を読み上げることはあるが、声だけの「主演」で、実在のアナを模しているわけではない。

「中国メディアによれば、AI技術を利用すれば30秒で500字の台本を音声に変えられるといい、当たり前ですが、人間アナのように休憩や休日も必要なく、撮影が長時間に及んでも疲れを見せず不満も口にしません。今後はアナウンサーだけでなく、人気MCの代わりにAIアナが起用される可能性もあるようです」(前出・ウォッチャー)

 とはいえ、一方ではAIを巡る物騒な騒動も起こっている。記憶に新しいのが2017年8月に起こった中国テンセント社が開発したチャット型AIロボット「ベイビーQ」による「中国共産党は無能」事件である。

「ベイビーQとのチャット中に、ユーザーが『(中国)共産党万歳!』との書き込んだところ、AIは『こんなに腐敗して無能な政治に万歳できるのか』と返信したんです。これがスクリーンショットで公開され、大騒動になった。結果、事態を重くみたテンセント社は、AIとの会話サービスを停止したのですが、SNS上では、共産党の逆鱗に触れたため、サービス停止に追い込まれたと言われました。さらにこの騒動は『中国企業のAIが共産党に反旗をひるがえした』と、各国のメディアが大きく取り上げましたね」(前出・ウォッチャー)

 まさかAIアナが暴走して共産党に反旗、などという事態は起きないだろうが…。

(灯倫太郎)

ライフ