夢グループ石田社長が激白!500円のシルクトランクスにクレーム殺到「怖そうな事務所に呼び出されて…」

 シルク商品のブランドイメージキャラクターに、大物俳優・松方弘樹さんを起用させていただいてから数年後。今度はシルク製のトランクスを発売しようと考えました。

「松方さん、シルクのトランクスっていくらぐらいすると思います?」

「そりゃあ高いだろうな。だいたい8000円から1万円はするだろうね」

 でも、僕は破格で勝負に出ようと思っていました。

「僕、500円で売ろうと思っているんです。そこでお願いなんですが、“松方弘樹も愛用のシルクトランクス”ってキャッチフレーズで売ってもいいですか?」

 松方さんの了承を得て、すぐに500円のシルクトランクスを発売開始しました。お1人様10枚までとして。

 これがね、もうバカ売れしちゃったの! でもね、売れたのはいいんだけど、注文と同じぐらいクレームの電話がかかってくるんですよ。縫製に問題があって、破けるというのがいちばん多いクレームでした。

 そのうち、「社長を出せ!」とか「誠意がないのか!」というお怒りの電話が日本各地からかかってくるようになりました。その都度、返金させてもらっていたんですが、ある時、近くにいらっしゃるお客様からクレーム電話が入ったんです。“ならば、返金するお金と一緒に交換用の新しいトランクスを持って行こう”と思って行った先が、なにやら怖そうな事務所。恐る恐る訪ねると、お偉い方風で会長さんみたいな人がソファにど~んと座っていらして、「お前か」と低い声でひと言。次に、大きな怒号が飛んできました。

「お前のとこで買った商品だ。一体どうしてくれるんだ!」

 もう僕は平謝りするしかありません。「すみません、なんか破けちゃったそうで。ご返金と新しい商品をお持ち致しました」。すると、「そういう事じゃないんだ。まあお前、とにかく一度、ここで穿いてみてくれないか」とおっしゃるのです。

「えっ! こ、ここでですか? いいんですか? 僕、ここでパンツ穿き替えちゃって…」

 躊躇しつつも、相手は真剣な表情でこくりと頷きます。「恥ずかしいですけど、じゃ、すみません」と言って、僕はズボンを脱いで下半身まる出しになり、シルクのトランクスを穿きました。会長っぽい方の他にもなんだか怖い感じの人がいる前で。

 トランクスを穿き終えたら、今度は「そこで座ってみてくれんか」との指示。「はいっ」と返事をしてすぐに座りました。その途端です。ビリビリビリ~ッ!という凄い音がして、なんと、おしりの部分が見事なまでに裂けちゃったんです。

 実は僕、トランクスって穿いたことがなかったの。ブリーフ派だから。それで想像もしなかった大胆な破れ方に思わず、笑ってこう言ってしまいました。

「なんですか!? このバカトランクスはッ!」

 そうしたら、それにつられてその会長も吹き出したんです。「自分のとこの商品で何笑ってんだ」って。そして、「いいか、よ~く聞けよ。俺はそれを女の前でやってフラれたんだ。どんだけバカにされたことか」と語り始めたんです。

 僕は思わずその様子を想像しちゃったもんだから、「すみません、僕、ブリーフ派だからトランクス穿いたことないんですよ。まさか破けるっていっても、ちょこっとかと思ったら、座った途端にこんなにビリビリって(笑)。女の人がいたら確かにひどい状況になっちゃいますよね~」ってゲラゲラ笑っちゃったの。

 もうその場の雰囲気といったら、本当におかしな空気が流れてました。

 結局、その会長さんが僕のことを気に入ってくれて、「お前、変わってる奴だなぁ。普通、爆笑するとこじゃねぇぞ。気に入った!」ってニコニコしながら「よしっ、5万円分、買ってやる!」って、なんと100枚もの破けるシルクトランクスを買って下さったんです。

 でも、またクレームで呼び出されるなんてまっぴら御免です。

「お願いですから、もう呼び出さないで下さいよ。破けますからね」そう言うと、「いや、大丈夫。これは面白い。俺が気に入ったからいいんだ。だけどな、これからはもうちょっとちゃんとした物を作れよ」とだけ言って笑顔で送り出して下さいました。

 本当に幸運でございました。いまだにあの方の笑顔を思い出します。ちょっと自分の父親にも面影が似ていたりしたんですよね。

 あっ、シルクトランクス? もちろん改良いたしました!

石田重廣(いしだ・しげひろ)株式会社夢グループ、株式会社ユーコー代表取締役社長。1958年7月1日生まれ、福島県出身。自ら出演する「夢グループ」のテレビショッピングで大人気。昨年、保科有里とのデュエット曲「夢と…未来へ」で歌手デビュー。今年8月30日に第2弾シングル「やすくして♡」を発売、ネット上でも話題に。

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