夢グループ石田社長が激白!43歳で芸能プロダクション経営に参入 所属第1号は「狩人」…でも「なんかヘンだぞ」

 僕が芸能事務所を設立したのは2003年。43歳のときでした。事の発端は、少しややこしくなります。

 以前、通販CMのイメージキャタクターに松方弘樹さんを起用させていただいたお話をしましたが、最初はにしきのあきら(現・錦野旦)さんが務めて下さっていたんです。ところがその後、にしきのさんが事務所から独立。新たなイメージキャラクターにと松方さんを紹介していただいたという流れです。

 僕の会社はそれで問題なくシルク商品を販売継続できたんですけれど、それまで事務所の看板として活躍していた「スター・にしきのあきら」を失ってしまった元所属事務所のK社長は困ってしまった。そこで、僕にこう相談してきたんです。

「社長、経営を助けてくれませんか」

 利益が上がったらその分、うちにもお返ししてくれるというのです。もともと「スター誕生!」のオーディションを受けに行くほど芸能界に憧れがあった僕です。「いいよ!」と二つ返事で毎月150万円の融資をすることにしました。

 芸能界に全く疎かった僕は、芸能プロダクションというのは、当然、日々利益が上がっていくものだと思っていたんです。ところが、1年経っても売り上げはほぼゼロ。不思議に思ってK社長に問いました。

「なんで1年もやっていて売り上げが全然ないの?」

 するとK社長、こう言うんです。

「芸能界でスターを育てるには少なくとも1年、2年はかかるんです。花もそうでしょう? 種を植えて収穫するまでの時間がかかる。必ず利益をあげる会社を作りますから待っていて下さい」

 なるほど、芸能界ってそういうものなのね……そう思って、もう1年お金を振り込み続けました。でも、2年経っても状況は全く変わらず。売り上げはゼロのまま。さすがにこれではいけないと、取引を終了することにしました。すると今度はK社長がうちの会社で雇ってくれないかと言ってきたんです。「いっぱいお借りしたお金を自分が働いてお返しします」と言うわけ。

 残念ながら通販のオペレーターは女性だけだったし、心配だったのでお断りしたんです。ですが、目の前には切羽詰まった表情のK社長がまさにすがるように僕を見つめています。

「わかった! じゃあこうしましょう。僕が芸能プロダクションをやります。だからまずは事務所に所属してくれる芸能人を探して下さい」

 ……そして1カ月後。K社長から電話がありました。「歌い手が見つかりましたよ! 有名な方です」そう言って訪れた彼の手には1枚の写真が。

「あっ! この人見たことあるよ。えっと……」

「『狩人』です!」

 興奮まじりに写真を指差しているK社長。いやいや、でもなんだかヘンだぞ。

「あれ? でも『狩人』って2人じゃなかった? こちらはお兄さんの方だよね。『狩人』なら2人でなきゃダメでしょ。弟さんはどうしたの?」

 聞けば、弟の高道さんにはまだ声をかけていないというじゃありませんか。

「ちょっと待って、『狩人』はお兄さんと弟さんがいて『あずさ2号』が歌えるのに、どういうことなの?」

 詰め寄る僕に、K社長ときたら「いや、お兄さん1人でも『あずさ2号』は歌えます」って言うわけ。これではらちがあきません。とにかく弟さんに連絡をするように伝え、後日、お兄さんの久仁彦さんと弟さんの高道さん、2人揃って面接へと漕ぎつけたんです。

 久仁彦さんは僕より2つ年上、そして高道さんは僕より2つ年下。ちょうど僕が真ん中で長男、次男、三男として一緒に頑張ろうということになりました。
 
石田重廣(いしだ・しげひろ)株式会社夢グループ、株式会社ユーコー代表取締役社長。1958年7月1日生まれ、福島県出身。自ら出演する「夢グループ」のテレビショッピングで大人気。昨年、保科有里とのデュエット曲「夢と…未来へ」で歌手デビュー。今年8月30日に第2弾シングル「やすくして♡」を発売、ネット上でも話題に。

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