露メディアが衝撃報道!ウクライナ戦恩赦で「人喰い殺人鬼」が釈放されていた

 1996年、欧州評議会への加盟にともない死刑執行を停止したロシア。ただ、これは「一時停止」であって「廃止」ではないのだが、さまざまな議論があった末に2009年に執行停止の継続が決定。そのため現在もロシアでは裁判で死刑判決が出ることはない。

 となれば当然、死刑制度のある国では間違いなく極刑判決が下る、というレベルの極悪非道な犯罪者が、ロシア国内の刑務所内にはウヨウヨいることになる。

「ロシアでの最後の死刑執行は1994年。これは、50人以上の女性と子供を殺害したアンドレイ・チカティロという男に対して行われた銃殺刑です。以降、死刑は1例もないため、78人の女性を殺害し、実際の犠牲者は200人に近いとみられている元警察官のミハイル・ポプコフという“ロシア最凶の殺人鬼”も、2回の終身刑プラス9年という判決。こうしたチカティロをはるかに超える犯罪者たちが、死刑を逃れ服役するという歪な構造を生んでいるんです」(国際ジャーナリスト)

 ところが、昨年2月にウクライナ侵攻が始まり、同11月にはプーチン大統領が殺人・強盗・麻薬密売などの重犯罪で服役している囚人も、ロシア軍に徴兵できる法令に署名。不足する兵力を刑務所から補充することが可能になった。

「6カ月軍務について無事戻ってこれれば恩赦で釈放されるという餌をぶら下げて受刑者スカウトを始めたのはワグネルのプリゴジン氏ですが、同氏亡き後も正規軍がそれを継承する形で現在も多くの受刑者を戦地に送っており、彼らが6カ月の軍服務を終えて続々と帰還しています。つまり、チカティロのような猟奇殺人者も、続々と野に放たれ始めたということなのです」(同)

 そんな中、悪魔崇拝儀式のために10代の少女を4人殺害し、食人行為に及んだとして逮捕された「人喰い殺人鬼」が6カ月の軍務を終え恩赦で帰還したとロシアのインターネットメディア「76.ru」が伝え、これをキーウポストやガーディアンなどの他国メディアが一斉に報じたのは22日(現地時間)のことだ。

「このニコライ・オゴロビャクという男は2008年6月、モスクワ郊外の森で10代の少年少女6人と悪魔崇拝の儀式を行い、少女4人を殺害。2010年に懲役20年を言い渡され服役中だったといいます。この男がいつ、どの前線に送られたかはわかっていませんが、報道によれば、男が6カ月間の服務を終え釈放されたのは今月上旬。両親によると、男は戦闘中に大きなケガを負い解放されたそうですが『今は回復中で、再び特別軍事作戦に投入される可能性は低い』と話したのだとか。前線では帰還するため自らの手でケガを負う者も少なくないと言いますからね。同じようなパターンで帰還者が増えれば、治安が決してよくないロシアの国民は、今まで以上に恐怖にさらされることになります」(同)

 受刑者の条件付き動員にはかねてから批判はあるものの、クレムリンのペスコフ報道官は、「赦免名簿を綿密に検討しているため、最前線への参戦に関する条件の変更はない」と徴集政策を変更する考えはないとの方針を示している。

 もし、隣に釈放された「人喰い殺人鬼」が引っ越してきたら…ロシア市民の悩ましい日は当分続きそうだ。

(灯倫太郎)

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