ハマスvsイスラエル「仲介できるのはプーチンだけ」仰天情報の信憑性

 パレスチナ自治区ガザに侵攻したイスラエル地上軍と、ハマスによる戦闘が激化している。現在、両軍の戦闘の中心となっているのが、ガザ最大病院であるシファ病院周辺で、13日にはイスラエル軍が同病院を包囲。院内にいるガザ保健省報道官によれば、この包囲と電力不足により、3日間で入院中だった32人の患者が死亡。うち3人が新生児だったとされる。

 病院内には現在も650人程度の患者が残っており、イスラエルは「病院の地下に司令部を構えるハマスが患者を盾にしている」と主張するが、ハマス側はこれを否定しているという。

 先の見えない両者の戦闘だが、この問題に対し、毎度のことながら全く機能していないのが国連だ。

「先月25日に行われた国連安保理では、米国が提出した『人道的中断』を求める決議案に対し、イスラエルの自衛権の保持について言及があることから、中国とロシアが拒否権を行使。一方、ロシアが提出した『即時停戦』案には、ガザ地区封鎖への非難が含まれていたことで、こちらも米国と英国が拒否権を行使し、全く解決の糸口が見えない状況です。現状、国連総会ではガザにおける『人道的休戦』を求める決議だけは採択されたものの、これについてもイスラエルと米国を含む14ヵ国は反対、英国を含む44ヵ国が棄権するという状況で、安保理じたいが事実上分裂し、打つ手がない状況に陥っている。現在カタール、エジプトなどが仲介に入っているものの、戦闘が停止される気配はありません」(国際部記者)

 そんな中、イスラエルに一方的に肩入れする米国とは一線を画しながら、中東の各国首脳に働きかけ、和平案模索に力を注いでいるのがロシアのプーチン大統領だという。

 イスラエルには旧ソビエトからの移民が大勢おり、ロシア国内にも十数万~数十万人規模とされるユダヤ系コミュニティーがあり、財界などで影響力を持っている。そんなこともあり、ロシアとは深い関係にあるイスラエルは、ウクライナ軍事侵攻後もロシアへの経済制裁には参加せず、プーチン氏もイスラエルのネタニヤフ首相と頻繁に連絡を取り合うなど、友好的な関係を築いてきた。

「一方、ハマスを支援しているイランとは、反米の立場で共闘関係にあり、ロシアによるウクライナの民間施設への攻撃で、イラン製自爆型無人機が主力として使用されていることからみても、両国の関係がズブズブであることは言うまでもない。実際、9月にテヘランを訪れたショイグ国防相は『(両国の関係が)新たなレベルに到達しつつある』と明言していますからね。しかも、プーチン氏は2020年以降、ハマスの政治部門トップであるイスマイル・ハニヤ氏を含む幹部をモスクワに招き、ラブロフ外相と数回にわたり会談させています。つまり、カタールもエジプトもアメリカも仲介に失敗、国連は指をくわえてみているしかない状況の中、現時点でイスラエル、ハマス両者の間を唯一取り持てるとしたら、プーチン氏しかいないことになってしまうわけです」(同)

 かねてから、イスラエルとパレスチナの「2国家共存」を支持してきたプーチン政権。仮に、ここで両者を和平に導くことができれば、中東での立場は確固たるものになるはずだ。

 オバマ政権の末期より、中東における影響力をまったく失ったアメリカ。そんなアメリカに代わり強いグローバル・リーダーシップ復帰を目指すロシア。今回の中東紛争の行方が大きなカギを握っているのは間違いない。

(灯倫太郎)

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