生放送も命懸け…フィリピンでラジオ司会者が相次いで殺害の激震!

 リアルタイムで放送しているがゆえにハプニングも多いテレビやラジオの生放送番組。そんな中、フィリピンではラジオの名物司会者が銃殺される事件が発生した。

 被害に遭ったのは、地元の人気ラジオDJ「ジョニー・ウォーカー」ことフアン・フマロン氏。ミンダナオ島カランバ市の自宅からネットラジオ番組の生配信中、リスナーを装って侵入した男性が銃撃。フマロン氏はすぐ病院に搬送されるも死亡が確認されたという。

 生配信中だったので銃殺の一部始終がそのまま流されることに。ちなみに犯人は男性2人組と見られており、現在警察が行方を追っている。同国ではテレビ各局がトップニュース扱いで報じ、欧米の各通信社もこの衝撃の事件を伝えている。

「実は、フィリピンでは昨年以降メディア関係者が襲われる事件が多発しています」(マニラ在住ライター)

 なかでも今年5月には別のラジオ司会者も襲撃によって亡くなり、昨年9月と10月にもラジオ局の記者、ラジオジャーナリストがそれぞれ暴漢に襲われ命を落としている。

 これで、昨年6月に就任したボンボン・マルコス氏が大統領に就任して以来、4例目となる。彼はかつて独裁政権下のフィリピンを支配していたフェルナンド・マルコス元大統領の息子。一家は86年の革命後ハワイへ亡命していたが後に帰国を許され、ボンボン氏は下院・上院議員や州知事として政治家のキャリアを積み上げてきた。

「彼は30代以下の若者から支持されており、なかには熱狂的な支持者も少なくありません。一方、父親の功績を美化・賛美しすぎるとの声も多く、反マルコス派との温度差は大きい。亡くなった4人はいずれも司会者や記者として政治や地域の問題を扱っていたといいます。マルコス大統領は『メディア関係者に対する攻撃は民主主義では許されない』『言論の自由を脅かすものは代償を払うことになる』と強い声明を出していますが、現地では政権批判が反感を買ったとの憶測も広がっています」(同)

 日本は「報道の自由度ランキング2023」で68位と低いが、いくら政府や首相を批判しても命を狙われることはない。そういう意味ではフィリピンに比べれば、まだ恵まれているのかもしれない。

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