ゼレンスキー大統領が画策「アフリカ切り崩し」「プーチン孤立化」戦略の行方

 プーチン大統領が9日、ロシアにとって重要な同盟国である、中央アジアのカザフスタンを訪問した。同国は経済、安全保障面でロシアと密接な関係にあるも、ウクライナ侵攻後は距離をとる動きを見せており、今回のプーチン往訪は「ロシア離れ」にくさびを打ち込みたい狙いがあるとみられる。

 全国紙国際部記者が語る。

「会談でプーチン氏は『われわれは最も親密な同盟国だ』と強調し、カザフスタンのトカエフ大統領も『強い絆と共通の歴史で結ばれている』と応じたものの、ウクライナ侵攻により中央アジアでのロシアの求心力低下は顕著で、その証拠に各国との関係も多様化し始めています。そのためプーチン氏としては、ロシアと7600キロの国境を接し、多くのロシア系住民が住む最重要国のカザフをなんとしても繋ぎ止めておきたい。ただ、プーチン氏が訪問する1週間前には、フランスのマクロン大統領がカザフを訪れ、さらには欧州連合(EU)や米国、イラン、トルコなどもカザフとの関係強化に動いています」

 一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は戦況が膠着する中、6日深夜の演説で「今は誰もが国を守ることを考えるべきだ。私たちは団結し、他の事に巻き込まれたり分裂したりしてはいけない」と国民に対し結束を訴えた。

「ウクライナ国営通信は9日、ウクライナの最高会議にてロシアの侵略後に発令された戒厳令と総動員令を来年2月まで延長することが承認されたと報じています。当然、戒厳令下では大統領選や地方選挙などは行われませんから、来年2月まではゼレンスキー氏が陣頭指揮を取ることになる。同氏としてはこの先も反転攻勢を強め、年内になんとか先が見えるところまで持っていきたいという思いがあり、戦闘面だけでなく外交攻勢も仕掛けています」(同)

 そのひとつが、ロシアを孤立化させるための「アフリカ諸国の切り崩し」だというのだ。

「ウクライナのクレバ外相は、昨年10月以降4度もアフリカに飛び、アフリカ12カ国を訪問、結果5カ国以上と大使館の開設合意を取りつけています。また、9月にはアフリカ諸国に対し、現在使用している古いロシア製兵器から、最新のウクライナ製兵器へ切り替えるよう働きかけたり、軍需工場建設を提案するため『国際防衛産業フォーラム』なる見本市まで開催し、アフリカ各国の関係者を招待しています。ロシアはこれまで、民間軍事会社ワグネルを使いアフリカとの関係を構築してきましたが、ワグネルなきあとは関係が希薄になった国もあると聞きますからね。交渉によってはウクライナの『切り崩し作戦』が功を奏す可能性もあり、今後、両国のアフリカ諸国を巡る攻防が激しくなることは間違いないでしょう」(同)

 6日、プレトリアで演説したクレバ外相は、新興国・途上国の総称である「グローバル・サウス」は、「西側とそれ以外の国で分断があると思い込ませるロシアの『ナラティブ』(物語)だ」とコメントしたとされるが、果たしてウクライナの巻き返しは成功するのか、アフリカ諸国の動向が注目される。

(灯倫太郎)

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