カナダ国営放送が衝撃報道!「超犬猿の仲」カナダと中国が「実はズブズブだった」

 カナダ・トロント駐在の中国人外交官が、カナダの国会議員を威嚇しようとする中国の企てに関与したとして、カナダ政府が同氏を国外追放したと発表したのは今年5月のことだった。

 カナダのジョリー外相は、この中国人外交官を「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」として、「内政に対する外国の干渉はいかなる形であっても容認しない。国外退去はすべての要因を慎重に検討した上で決定された」と強調した。

 当然と言うべきか、この措置に対し中国政府は「断固として対抗措置を取る」と猛反発した。両国の間では、2019年に勃発した中国通信機器大手「ファーウェイ」副会長の拘束を巡り、しこりが根強く残っていることもあり、この問題をきっかけに対立がより深まったと見られた。

「カナダ政府は今年2月、中国発の動画投稿アプリ『TikTok』をプライバシーの保護と情報セキュリティーが『容認できないレベル』として使用を禁止しましたが、10月30日にも、中国の通信アプリ『ウィーチャット』を同様の理由で、使用禁止すると発表しています。さらに、カナダ外務省も、今年8月から9月にかけ、自動投稿プログラム『ボット』により、数十人の議員がアカウントを乗っ取られ、トルドー首相や議員のカウントに偽情報やプロパガンダが投稿されていたと発表しました。しかも、追い打ちをかけるように11月1日には、アメリカ海軍のミサイル駆逐艦『ラファエル・ペラルタ』と、カナダ海軍のフリーゲート艦『オタワ』が、台湾海峡を通過したと発表されました。一連の事態に、両国間の緊張関係はさらにエスカレートするだろうと見られています」(全国紙国際部記者)

 ところがそんな中、カナダ国営放送(CBC)の調査報道番組「フィフス・エステート」が10月20日に放送した内容をめぐって大騒動になっているという。先の国際部記者が語る。

「この番組が取り上げたテーマは、世界で暗躍する中国の『秘密警察署』でした。秘密警察というのは、中国政府が国境を越えた犯罪、特にオンライン詐欺を取り締まるという名目で世界各地に開設した組織で、表向きは当局が標的にする在外中国人に対して帰国を促す活動をしている機関です。しかし、内情は『帰国を促す』どころか、標的が帰国を拒否した場合、母国で暮らす親兄弟、子供らを『連座制』で処罰すると脅して強制的に連れ帰るため、人権蹂躙だとしてかねてから問題視されてきた組織なんです。ところが、番組によれば、カナダ政府と、この秘密警察との間には深い繋がりがあり、カナダが対中貿易などで便宜を図ってもらう見返りに、国外逃亡者の身柄確保をサポートしてきた、というんですね。しかも、それを直接指示していたのがカナダ政府であると…。すでに人権団体などから批判が噴出しており、波紋は大きくなるばかりです」

 番組によれば2008~22年にカナダから強制退去させられた中国人は33人だというが、カナダ連邦警察の元捜査官は、政府の最上層部から中国の担当者に協力し、中国人ターゲットをマークするよう指示されたとして、このまま中国側に身柄を引き渡せば処刑のほか、重罪に課せられることを知りながら、政府高官からの指示には逆らえなかった、と証言している。

「報道が事実なら、カナダと中国の対立関係は表面上だけで、裏では『ズブズブの関係』だったということになります」(前出・記者)

 この報道に対しトルドー首相はコメントしていないが、早急な真相究明を求めるカナダ国民は少なくないのである。

(灯倫太郎)

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