スシローが回転モニター「デジロー」導入で、100円ずし回帰は絶望的との指摘

 回転ずしチェーン大手「スシロー」は、回転レーンにすしを流す代わりに大型タッチパネルディスプレイを使ってすしが流れる様子を再現した「デジロー」を3店舗で開始すると発表した。好評であればさらに導入店舗が増えるとみられているが、これにより回転レーンが消滅していくほかに、価格への影響も指摘されている。

 同チェーンでは、今年に入り相次いで迷惑動画が投稿されたことから、2月からは回転レーンですしを回さず、タッチパネルで注文された商品のみを提供していた。しかし、いたずらされずに回転寿司が本来持っていた楽しさを再現する方法を考えた結果、縦50センチ、横1.5メートルのディスプレイを各席に導入するに至ったという。

 ディスプレイには寿司がレーンを流れていく映像が映され、タッチすることでその商品を注文することができ、注文した商品はテーブルごとの専用レーンで運ばれてくる。そのため、実際のすしが流れる回転レーンは撤去される。また、タッチパネルでは注文の他に一定金額でグッズがもらえる、ライバルである「くら寿司」の「ビッくらポン」のようなゲーム機能も用意されるという。

「くら寿司は迷惑動画問題以降、わりと早めに回転レーンを復活させましたが、なかなか回転レーンを復活させなかったスシローは結局、廃止の方向に舵を切ったことになります。回転寿司チェーンで迷惑動画問題が相次いで起きた時に、各社が対策を取ることで商品にその費用が転嫁されるのではないかと懸念する声がありました。もし、スシローがこのディスプレイが好評で全店に採用されることとなれば、当然のことながら莫大な費用が掛かりますし、100円すしが完全復活するのは厳しい状況になったと言わざるを得ないでしょう」(経済ジャーナリスト)

 スシローは創業40周年を記念して、「大切りめばち鮪」や「本鮪中とろ」などを期間限定で1皿100円で提供するというが、もう100円ずしはこうした周年イベントでしか食べられないかもしれない。

(小林洋三)

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