ロシア・アフリカ会議の主役はプリゴジン!?「3兆円債務帳消し」のニュースが霞んだプーチンの怒り

 ウクライナ侵略で苦戦中のプーチン大統領が、アフリカ諸国を取り込むため、大盤振る舞いに転じている。

 28日、ロシア第2の都市サンクトペテルブルクで、アフリカ54カ国のうち49カ国から政府関係者や企業の代表などが参加して開催された国際会議で突然プーチン氏は、アフリカ諸国がロシアに対して抱える総額230億ドル(3兆2000億円)の債務を帳消しにすると発表した。

「プーチン氏は前日の27日にも『アフリカ6カ国に穀物を無償で提供する』と宣言。今後、アフリカ諸国に対する経済支援をさらに強化していくとの方針を明らかにしました。その翌日に、今度は滞った債務を帳消しにして、さらにアフリカの発展のために9000万ドル(120億円)の供与を約束したというんですからね。いかにアフリカ諸国を取り込んで、対立を深める欧米に対抗する狙いがあるとしても、言い方は悪いが、バラマキに近いお土産外交。つまり、ロシアが西側からそこまで追い詰められているということです」(ロシアウォッチャー)

 そのサンクトペテルブルクにおいて、プーチン氏以上に動向が注目されたのがワグネル創設者のプリゴジン氏だ。同氏は首脳会議のため現地入りしていたアフリカ大手テレビ局トップとの親密なツーショット画像をテレグラムにアップ。さらに、西アフリカ・ニジェールで起こった軍事クーデターについて積極的に評論するなど、すっかりアフリカ諸国関係者の話題をさらったというのだ。

「ロシアは、クーデターが起こったニジェールを巡り、バズム大統領の解放を求めていますが、一方プリゴジン氏はワグネル関連のテレグラムに『クーデターは独立宣言だ。植民地支配を排除する』との声明文を音声データで投稿。この発言を現地で支持する声も多く、現在もなおアフリカ諸国におけるプリゴジン人気が高いことを示しています」(同)

 現在、中央アフリカ共和国、マリなどアフリカおよび中東地域の13カ国で紛争に介入、その代わりとして鉱山の採掘利権等を手にしてきたとされるワグネル。だが、元はと言えばワグネルは、アフリカとのパイプを構築するためにプーチン氏が先兵として送った部隊だ。

「もちろん、今回の会合はプーチン氏の同意を得て行われたものでしょうが、結果的に『国際会議』の話題の主役をもっていかれたことで、プーチン氏は面白くないはず。それでもプリゴジンを排除できない背景には、こうしたアフリカとの太いパイプもある。プーチン氏としては、庇を貸して母屋を取られてしまった格好で、ニッチモサッチモいかないのが今の状況ではないかと考えられます」(同)

 相変わらず体調不良説も出ているプーチン氏だが、その心中とは…。

(灯倫太郎)

ライフ