高校野球「夏の甲子園予選もエスコンフィールド」で懸念される「札幌ドーム」の今後

 北海道高野連が夏の甲子園大会予選と秋季大会の準決勝、決勝の開催地の概要を発表した。前者はエスコンフィールド、後者は札幌ドームになり、札幌市円山球場からの「移転」となった。

 北海道高野連の坂本浩哉会長は会見で、「天候、日没など日程の順延などの問題が解消される」と語り、ドーム球場に会場を移す利点を強調した。だが、問題は札幌ドームの「今後」だという。

「夏の甲子園大会予選と秋季大会では、道民の注目度に大きな差があります。なぜ、札幌市は札幌ドームで夏の大会を取りに行かなかったのか。円山球場は高校野球大会の決勝の舞台にもなってきました。これまでの実績を挙げれば、秋季大会ではなく、夏の大会を取れたのではないか」(地元メディア)

 札幌市は夏の大会の準決勝、決勝という「ドル箱興行」もエスコンフィールドに奪われてしまったわけだ。これまでも札幌ドームは日本ハムの本拠地移転にともなう損失分をどう補っていくのかが注目されていただけに、高校野球でもエスコンフィールドの後塵を拝したことに地元関係者は不安を隠さないのだという。

 一方、高校野球の現場指導者からはこんな声が挙がっている。

「エスコンフィールドは内外野ともに天然芝であり、日本ハムの選手たちも打球処理に苦しむ場面を見せています。打球が失速し、バウンドも高くないので捕球が難しいのです。今の高校球児たちも人工芝で試合をすることが多く、エスコンフィールドの天然芝がプレーにどう影響するか懸念されています」(道内私立校指導者)

 どうにも後手に回っているような札幌ドームだが、秋季大会とはいえ準決勝、決勝は行われる。エスコンフィールドにはない人工芝やアクセスの良さなどの強みを活かす手もあるだろう。すでに20年以上も市民から愛されてきた球場だけに、今後もさらなる活用の場を探って欲しいものだ。

(飯山満/スポーツライター)

スポーツ