高校野球が変わる。今度こそ、「春夏の風物詩」としての光景が一変しそうだ。
日本高野連が2018年センバツ大会から導入しているタイブレーク制を変更すると発表した(12月2日)。延長13回からの実施を10回からにするという。つまり、高校野球の延長戦は全てタイブレークになるわけだ。
「来春のセンバツ大会から実施されます。都道府県大会や地区大会など全ての公式戦がそうなります」(学生野球担当記者)
会見では「決勝戦もそうなるのか?」の質問も出たが、小倉事務局長は黙って頷くだけ。その毅然とした態度から“強い決意”が伝わってきた。
「高校野球ファンは、いわゆる死闘、両者が一歩も譲らない投手戦を好みます。そんな試合は見られなくなるかも」(前出・同)
「選手の健康問題」を出されたら、誰も反論できないだろう。
しかし、関係者の話を集めてみると、高野連は18年の導入時から「延長戦=タイブレーク制」となることも念頭にあったようだ。
「国体、明治神宮大会とルールが異なる点を気にしていました。13回からタイブレーク制になるのは、高野連が主催するセンバツと夏の甲子園大会だけ。国体、神宮大会は10回からタイブレークに突入するルールです。大学、社会人野球の全国大会も10回からのタイブレーク制を実施しています」(関係者)
大学、社会人の野球組織から“ルールの統一”を迫られたことはないそうだが、夏の甲子園大会の出場経験を持つ私立高校の指導者がこんなことを教えてくれた。
「甲子園に出場したとき、高野連からヒアリングみたいなものは受けました。タイブレーク制の是非、現在13回から始まることについてどう思うか。実際に登板したピッチャーの疲労、その回復具合など。地元に帰って確認したら、9地区の代表理事ともタイブレーク制導入後も色々と話し合ってきたそうです」
制度導入後、実際にタイブレークとなったのは、センバツは延長戦24試合中4試合。夏の大会は15試合中3試合。タイブレークで決着がついた実際の試合数は少なかったが、今年の甲子園で39試合あった延長戦が来年からは全てタイブレークになるわけだ。
「現場指導者、全国の理事は10回突入の決定に対し、賛成のほうが多いですよ」(前出・私立高校指導者)
無死一、二塁の場面から試合スタートとなるタイブレーク制。送りバントとスクイズで「1点」が入ってしまう。これからは、心理戦も楽しまなければならないだろう。
(スポーツライター・飯山満)