全国の「松屋」でフリーWi-Fiを導入、“牛丼屋でテレワーク”はありか

 大手牛丼チェーン「松屋」を展開する松屋フーズホールディングスは、7月1日から全国の店舗でフリーWi-Fiを提供すると発表した。客単価が安い牛丼店は回転率が重要とされているが、客が長居しかねないフリーWi-Fiを導入しても問題がないのだろうか?

 フリーWi-Fiの対応店舗には店頭に『FREE Wi-Fi』シールが貼られ、PA店舗やサテライト店舗など一部店舗では提供されない。Wi-Fiを使えば、券売機を使わずにスマホから「松屋モバイルオーダー」で注文でき、混雑時の待ち時間を短縮できる。また、卓上に貼られるWi-Fiのパスワードシールには、待ち時間を楽しんでもらえるよう、従業員が考えた松屋クイズも用意されているという。

 ここ数年、フリーWi-Fiのサービス終了が相次いでいる。その原因としてはスマートフォンの4G・5G回線の普及などが挙げられるが、飲食チェーンやコンビニなどではフリーWi-Fiを利用するために長居したり、駐車場が混雑するといったネガティブな理由からサービスを取りやめるところもあるという。早い・うまい・安いが売りの牛丼店では、フリーWi-Fi目的の客で席が開かないことでマイナス面が大きそうだが…。

「最近では客にゆったりと過ごしてもらうためカフェ風の店舗を用意する牛丼店もありますが、フリーWi-Fiが導入される松屋の中には席数の少ない店舗もありますからね。昼時の混雑時にWi-Fiを利用してだらだらと“ながら飯”をしたり、食事を終えた客がなかなか退席せずに待ち客が座れないという状況は十分に起こり得ると思います。さすがにPCを開いて店で仕事をする客は少ないでしょうが、客席稼働率は上がっても、客回転が落ちる可能性は十分にありますね」(フードジャーナリスト)

 フリーWi-Fiのサービスがむしろ客を減らすことにならなければいいが…。

(小林洋三)

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