昨年10月と今年2月に2度のテスト販売を実施して賛否両論を巻き起こした、“二郎インスパイア系”である松屋の「ニンニク野菜牛めし」(890円=税込)がついに4月8日から全国販売がスタート。年間100食近く直系のラーメン二郎を食べたこともある記者が、実食レポしよう。
賛否両論とは言ったが、テスト販売の際には《とにかくしょっぱすぎる》《ご飯には合わない》など、特にラーメンマニアからは厳しい意見が多く寄せられていた印象だ。2度のテストを経て全国販売するにあたり、松屋がどんな調整を加えてきたか楽しみでもある。
店舗入口にある券売機で「ニンニク野菜牛めし」と「生玉子」を注文。およそ5分ほどで提供されたのは、キャベツともやしに埋め尽くされ、上から背脂醤油ダレがかけられた見た目はまんま二郎の牛めしだ。しかし、野菜は二郎特有のクタッとした食感ではなくシャキシャキしていて、キャベツの甘みやほのかに香ばしさも感じられる。
たっぷりかけられた背脂醤油ダレは醤油よりも味噌の風味が強く感じられ、刻みにんにくの辛みも加わり、かなり塩辛い味わいとなっている。こちらはデフォルトで別皿でも付いてきて味の調整も可能というが、正直、そこまで用意する必要はないと感じた。背脂醤油ダレの下にはチャーシュー代わりなのか刻んだ豚の角煮のようなものが入っていたが、味付けは非常に甘く、他とのバランスを考えれば記者の場合は必要ないと感じた。
そして、全体をしっかり混ぜてからいただくと、背脂醤油ダレの塩辛さがだいぶ軽減され、これは確かにガツンとパンチの効いた(決して直系ではなく)インスパイア系の味わいになる。牛めしとの相性が良くないといった意見もあるが、個人的には濃いめのタレでご飯も進み、まったく問題なく、美味しく食べることができた。
後半になるとまた味が濃く感じられたが、生玉子を溶いて投入すると非常にまろやかに食べやすく最後までいただけたので、注文した方がいいかもしれない。
ただ、ラーメンマニアが《こんなの二郎じゃない》と言いたい気持ちも理解できる。にんにくもタレのしょっぱさも振り切った感じなので、食べる人をかなり選ぶかもしれない。とはいえ野菜やにんにく、背脂醤油ダレが牛肉やご飯と合わないはずもなく、気軽にガッツリとスタミナを付けたい人にはもってこいの商品になっているのではないだろうか。
(小林洋三)