歴史は繰り返す? 広島・森下暢仁の「一発」がもたらす「その後の朗報」

 投手のホームランは「飛躍」の前兆か。

 6月28日のDeNA戦で広島が勝利した。決勝打となったのは、先発・森下暢仁の3ラン。試合後、DeNA・三浦大輔監督は「ピッチャーのスリーラン、あれで終わりじゃないですけど、ダメージが大きかった。ああいう失点は、なかなか返って来ない」と、被弾後の自軍の攻撃に影響を及ぼしたことを打ち明けていた。

 二刀流・大谷翔平の活躍で「投手のホームラン」は珍しくなくなったが、調べてみたら、広島投手のホームランは2015年の前田健太以来だった。

「広島ベンチが盛り上がったのは間違いありません。普段、ホームランを打たない人が打つと、監督の表情も明るくなるというか」(スポーツ紙記者)

 広島・新井貴浩監督のインタビューによれば、「元々、打撃は良かった」とのこと。森下自身は大学、高校に遡っても「公式戦で打った記憶がない」と言うが、

「序盤からアツ(会沢翼捕手)があまりないリードをして凄く良かったと思います。ナイスピッチングでしたし、ナイスバッティングでした」
 
 と、新井監督は「投手の本塁打」による相乗効果を語っていた。
 
「森下の3ランが出たのは、5回裏。1死1、2塁の好機でした。スコアは2対2、いつもの新井監督なら送りバントのサインを出していたと思います。強攻策に出たのは、新井監督のカン。ホームランまでは想定していませんでしたが」(球団関係者)

 森下の一発、野手顔負けの飛距離にマツダスダジアムのファンも驚いていた。
 
 さて、15年に「投手本塁打」を放った前田だが、その年に沢村賞を獲得している。広島投手陣は打撃練習にあまり時間を割くチームではない。攻撃スタイルも手堅いので投手が打席に立ったときの強攻策も滅多にない。こうしたチーム状況を考えると、森下の一発は貴重であり、前田同様、タイトル獲得のシーズンとなるかもしれない。

(飯山満/スポーツライター)

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