GDP世界3位でも平均賃金は…日本がたどる貧困国への道

 2009年まで世界第2位の経済大国だった日本。現在も22年の世界GDP(国民総生産)ランキングではなんとか3位を死守しているが、2位中国の19兆3735億ドルに比べ、日本は4兆4097億ドルと15兆ドルも離され、さらに4位以下のドイツ、インドなどが肉薄。抜かれるのも時間の問題とも言われている。

 また、それ以上に深刻なのが平均賃金。経済協力開発機構(OECD)の発表によると、22年の日本の平均賃金は4万5109ドル(約596万円)で25位。最新のランキングでは韓国(19位)やイタリア(21位)、スペイン(24位)を下回る。

「過去30年間、賃金水準がほぼ横ばいなので当然の結果ですが、G7では断トツの最下位でOECD加盟国の平均にすら及びません。国際的な評価も下がっており、もはや富裕な国とは言えない状況です」(エコノミスト)

 世界には富裕国から貧困国へと没落したケースがままある。

 例えば、ギリシャは1950〜70年代にかけて高度成長期の日本並みの経済成長を実現。〝ギリシャの奇跡〟と謳われたが80年代に入ってからは失速。さらに2010年には莫大な財政赤字が発覚し、国債が大暴落。新規の国債発行ができなくなる〝ギリシャ危機〟を招き、西欧最貧国へと転落している。

 また、アルゼンチンは19世紀後半から世界の富裕国の一角として君臨。1930年代からは低迷期に入るも、第二次大戦後に復活を遂げ、1962年までは1人あたりのGDPが日本よりも高かったが、その後は軍の介入による度重なる政策転換などで経済状況が悪化。2011年、約半世紀ぶりに高所得国へと戻ったが、現在はインフレ率100%の経済危機に見舞われており、再び没落の危険が高まっている。

 そして、産油国として南米一の富裕国だったベネズエラは社会主義政策への転換で一変。現在は南米でもっとも貧しい国のひとつにあげられている。他にもキューバやイラン、カンボジアもかつては経済発展を遂げつつあったが、革命を機に没落していった。

「これらの国に比べると日本は経済的に安定していますが、再び世界のトップに返り咲けるような明るい材料に乏しいのも事実。このままだと緩やかに下り坂を転げ落ちる可能性が高いでしょうね」(前出・エコノミスト)

 日本が経済大国だったのはもはや過去のこと。これが現実なのだ。

マネー