やはり勝負事は先に動いた方が負け、ということか。
10月18日に行われたセ・リーグCSファイナルステージの第1戦は、阪神が広島に4−1で勝利。アドバンテージを含め対戦成績を2勝0敗とリードした。
この試合、広島の新井貴浩監督は8番ファーストで韮澤雄也を起用したが、この“奇襲”とも言うべき動きは阪神・岡田彰布監督に読まれていたようだ。
「この日、1軍登録されたばかりの韮澤について岡田監督は試合後、『そらもうスタメンてわかっていた。早いうちにティーバッティングしてたから』と明かしたのです」(スポーツ紙デスク)
今年1軍では45試合出場で打率1割4分、1軍の試合出場は6月30日以来という韮澤を、新井監督はなぜ大事な試合で先発させたのか。
「実は韮澤は、この日先発登板した阪神・村上頌樹と相性がいい。通算打率は5割で昨季は9打数5安打と打ちまくっているのです。といってもこれはウエスタンリーグでの成績。そして村上は昨年とは人が違ったように大きく成長していますからね。韮澤は9月にファームで調子を上げていたようですが、さすがに荷が重かったのでは」(前出・スポーツ紙デスク)
「プロ野球ニュース」(フジテレビONE)に出演した、野球解説者の達川光男氏も「DeNA戦でラッキーボーイだった堂林(翔太)をなぜ外したのか」とクビを捻っていたが、結果的に“新井マジック”は裏目に出てしまう。
韮澤は村上の前に2打数無安打に抑えられただけでなく、守備では5回、1死一、三塁で村上の一塁強襲打を取れずに二塁打としてしまい、勝ち越し点を献上。続く近本光司の安打でさらに2点ダメ押しされてしまう。
「上手い一塁手なら村上の打球は捕れていたし、ゲッツーにできていた場面。無失点で切り抜けていれば試合はまだわからなかったのですが」(前出・スポーツ紙デスク)
試合前日には「むちゃくちゃやる」と意気込みを語っていた新井監督に対し、「俺は受けるよ」と宣言していた岡田監督。経験豊富な岡田監督が一枚上だったようである。
普段通りの野球で先勝したチームに岡田監督は「明日以降もうちょっとどっしりいけるんじゃないか」と話す。DeNA戦では采配がことごとく当たった新井監督に、起死回生の一手はあるか。
(石見剣)