NHK「あさイチ」のウクライナ報道が物議、「With 戦争」に視聴者が抱いた違和感

 ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始して1年と4カ月がたったが、未だ収束の兆しは見えず。ウクライナ各地ではそれぞれの軍による戦闘が続けられており、市民たちは戦争と常に隣り合わせの生活を余儀なくされている。NHK朝の情報番組「あさイチ」の6月28日放送回では、そんなウクライナ市民の現状を特集したのだが、特集につけられたタイトルが視聴者の間で物議となっている。

 この日の放送では、NHK国際放送局ディレクターを務めるウクライナ人の女性、ノヴィツカ・カテリーナ氏がスタジオに登場。番組ではウクライナに住むカテリーナ氏の友人ら3人を取材し、戦禍での生活事情を聞くというVTRが流された。

 カテリーナ氏の友人らは「警報が鳴っても最近は避難しなくなった」「夜中3時に子供を抱っこして避難所まで歩き、朝5時まで寝られずにじっと待つのは大変」「家の中の安全な廊下に布団を敷けば少しは眠れる」「横になっていると爆発音やミサイルの破片が落ちる音が聞こえる。“私の家に落ちないで”って祈っている」などと、リアルな暮らしぶりを語った。戦争が日常になっている事が分かる取材内容だが、この特集にNHKがつけた見出しが視聴者を騒がせたようだ。

「取材VTRが流れる画面脇には特集の見出しが付けられているのですが、そこには『ウクライナ人ディレクターが聞く“With戦争”の暮らしは?』というテロップが。この企画のタイトルを回収するように、スタジオのカテリーナ氏も、数日前にキーウがミサイル攻撃に遭ったことを話題にあげ『連日起きている事なので、日本では“Withコロナ”と今まで言われてきたのと同じく、ウクライナは今“With戦争”なんです』と、それだけ市民の日常に戦争が密接しているのだと力説していました。しかし、この“With戦争”という見出しには視聴者から《軽々しすぎる》などといった批判意見が噴出しています」(テレビ誌ライター)

 SNS上ではこの表現に対し《“With戦争”って表現どうなの?目を疑うわ》《キャッチーにしてるけど流行みたいに取り上げるのは違うと思う》《戦時下の暮らしを“With戦争”というのには違和感ありすぎ》《軽薄すぎて常軌を逸している。ウクライナの惨状を考えたら使えない表現だと思う》《こんな軽々しいタイトルつけるNHKはおかしい》などといった書き込みが多数見受けられた。
 
 戦争が生活の一部になってしまっているという悲しい現状を表現するのに、“With戦争”はあまりに軽い表現だったかもしれない。

(浜野ふみ)

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