復帰間近・ヌートバーが「トレード候補」にあがるカージナルスの絶望的チーム事情

 侍ジャパンの切り込み隊長、ラーズ・ヌートバー(カージナルス)に「トレード放出」の話が出ている。理由は「メジャーリーガーの宿命」としか言いようがないもので…。

「復帰に向け、順調に調整ができています。17日(日本時間18日)には3Aジャクソンビル戦に出場、2ホーマーを含む4打数4安打と大活躍。オリバー・マーモル監督は当初、来週末のイギリス遠征から合流させると話していましたが、19日(同20日)のナショナルズ戦から復帰の可能性もありそうです」(米国人ライター)

 ヌートバーがロイヤルズ戦での守備中に腰を打撲し、故障者リスト入りしたのは5月30日(現地時間)だった。ところが、ヌートバーが不在の間、チーム状況が一転してしまった。

 カージナルスは、6月は4勝11敗(18日時点、以下同)でトータル29勝43敗となり、ナ・リーグ中部地区のダントツ最下位である。13、14日のジャイアンツ戦では「あと1球で勝利」の状況から、同点、逆転を許す惨敗で、チームの雰囲気も最悪だという。

「下位チームの好選手が優勝争いをしているチームの標的になるのは、この時期の恒例行事みたいなもの。カージナルスは地区トップのチーム本塁打数100を記録しているように、好打者も多いんです。『カージナルスは多少の出血は覚悟し、若手野手を放出してピッチャーを獲るべきだ』というのが地元メディアの論調です」(前出・ライター)

 その有望な若手野手の中にヌートバーも入っているのだという。しかも、ヌートバーは長打タイプの多いカージナルスにおいては「異色の選手」でもある。打率はさほど高くないが、出塁率が高い。1番バッターを探しているチームはもちろんだが、今春のWBC以降、アメリカでも有名になった選手でもある。興味を示す球団は多いはずだ。

「日本の球団が獲得に乗り出すかといえば、カージナルスはピッチャーの補強をいちばんに考えているようなので、今回はないと思われます」(現地メディア)

 先の米国人ライターが言うように、下位チームの好選手が上位チームから一本釣りされるのがMLB流でもある。日本での勇姿はおあずけになりそうだが、米国内でのヌートバーの周辺が騒がしくなってきた。

(飯山満/スポーツライター)

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