大谷翔平の去就を意識しての人事案かもしれない。エンゼルスの次期監督候補に、一塁コーチャーで打撃担当だったベンジー・ギルコーチが浮上してきた。今春のWBC、21年の東京五輪でメキシコ代表チームの指揮を執った。その経歴に申し分はないが、エンゼルスの地元・ロサンゼルスではこんな見方もされている。
「オーナーのアート・モレノ氏もメキシコ出身ですからね。ギルコーチは21年からメキシカンリーグに参入したグアダラハラ・マリアッチス球団の初代監督も務めました。メキシコ系選手からは一目を置かれているので、エンゼルスの課題である投手補強がメキシコ方面に向けられれば、スムーズに進むかもしれません」(米国人ライター)
大谷との関係も良好だという。
「本塁打王のタイトル獲得はギルコーチのおかげとまでは言いませんが、シーズン中、助言を仰ぐこともありました」(現地メディア)
しかし、去就問題で揺れる大谷に影響を与えそうな監督人事はこれだけではなかった。パドレスの新監督候補にエンゼルス前監督のフィル・ネビン氏が挙がっているのだ。
「ここに来て、ネビン氏の名前が急浮上してきました。当初はライアン・フラハティベンチコーチ、シニアアドバイザーのマイク・シルト氏の内部昇格案が囁かれていたんです。でも、当然といえば当然。ネビン氏は現役時代、パドレスに在籍した時期もありましたから」(前出・米国人ライター)
ネビン氏も大谷の二刀流のよき理解者であり、その影響で先発ローテーションが変則となっても、やり繰りしてきた。これには大谷も感謝していたという。
「実は、ネビン氏の前任監督のジョー・マドン氏もホワイトソックスの新監督候補に挙がっているんです」(前出・同)
大谷はマドン氏にも尊敬の念を抱いている。信頼する打撃コーチの昇格、理解者、尊敬する人。もっとも、マドン、ネビン両氏の解任理由は成績不振。それでも他球団が監督候補として面談を求めてきたということは、「アノ戦力なら仕方ない」と判断したからだろう。
大谷はエンゼルスの現状を含め、去就問題でさらに悩むことになりそうだ。
(飯山満/スポーツライター)