品薄が続く中古車市場、原因はロシアへの大量輸出だった!

 ここ数年、品薄状態が続いている国内の中古車市場。日本自動車販売協会連合会の統計によると、国内中古車登録台数はコロナ前まで年間380万台前後で推移していたが、20年から3年連続でダウン。昨年の登録台数は348万台まで落ち込んでいる。

 その背景としては、世界的なレアメタル不足による新車の製造が縮小されたことが挙げられる。納入まで年単位で待たされることも珍しくなったこと、さらに価格が高騰したことで買い替えを控えるようになったためだ。ただし、中古車不足の原因はこれだけではない。

「登録台数の減少に反比例する形で海外への輸出が増加しています。なかでも昨年に入ってからはロシアへの輸出が急増しています」(自動車専門誌編集者)

 ウクライナへの軍事侵攻に対する経済制裁の一環としてロシアへの新車輸出は停止されているが、600万円以下の中古車は対象外。欧米諸国は中古車の輸出も禁止しているため、ロシアの業者が日本の中古車を大量に仕入れるようになったというわけだ。

「22年の輸出台数はロシアだけで21万3500台。前年比32%増で2位アメリカの15万台を大きく引き離しています。日本車は以前からロシア人に人気でしたが、開戦後は新車が倍以上に高騰して庶民には手が出せません。ただし、現地の中古車相場も値上がりしており数もさばけるので、輸出業者にとってはおいしいビジネスになっています」(同)

 しかも、停戦の目途が立たない以上、経済制裁の長期化は必至。ロシアにとって日本は中国と並ぶ二大輸入先となっており、今後さらに輸出台数が増える可能性もあるという。

 一大産出国であるロシアからのレアメタルの輸入がストップし、日本の新車の製造ラインに影響が出ている。その反面、日本からロシアに向けて中古車を大量に輸出。ロシアの起こした戦争のおかげで新車も中古車も品薄とはなんとも皮肉な話だ。

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