奇策か、それとも…。
5月30日から始まるセパ交流戦。各球団ともエース級の投手が先発マウンドにあがる予定だが、原巨人だけは違う。支配下選手に復帰してまだ2週間余の平内龍太が「交流戦の開幕投手」を務めるという。
平内の「交流戦初戦先発」が発表されたのは、29日午後。支配下復帰後の登板は全てリリーフだったので“サプライズ”であることは間違いないが、球界関係者はこんな指摘をするのだ。
「いま考えれば、前触れというか、意味ありげな投手起用がありました。23日のDeNA戦で先発の赤星優志が3回5失点で降板しています。そのあとに投げたのは、平内、菊地大稀。2人とも3イニングずつのロングリリーフでした」
ローテーション通りにいけば、30日の交流戦初戦は赤星となる。しかし、赤星は5失点KOされた翌24日に一軍登録を抹消されている。この時点で先発枠に空きができてしまったが、これをカバーするために2つの手が考えられた。
別の投手を先発ローテーションに充てるか、24日に先発した戸郷翔征を前倒しして「中5日」で先発させるかである。
結局「別投手を充てる」案が採用されて平内の先発起用が決まったようだが、平内は26、27日の阪神戦に登板している。つまり、先発マウンドを務める投手が短いイニングで交代する「オープナー」のゲーム展開になる可能性が高そうなのだ。
「阿波野秀幸チーフ投手コーチの考え方次第でしょう。26日の阪神戦で好投していた先発の横川凱を交代させ、その後、逆転負けを喫しています。阿波野コーチは『リリーフ陣で勝負できると思った』との趣旨のコメントを出していました」(前出・球界関係者)
巨人のチーム防御率は4.01でリーグワースト。12球団で4点台を記録しているのは巨人だけだ。また、救援陣にいたっては4.82とさらにひどくなる。それでも、阿波野コーチは中川皓太、鈴木康平を加えた救援陣が“回復傾向”にあるとし、十分に巻き返せると判断しているようだ。
30日の千葉ロッテ戦はその救援陣が総動員となるのか。巨人の交流戦は波乱の幕開けとなりそうだ。
(飯山満/スポーツライター)