「2012年の奇跡」を再現させるためには、あの男が奮起するしかない…。
4月14日の中日戦に敗れた巨人は、この時点で単独最下位となった。17日現在、首位・広島に4ゲームの差をつけられて最下位という状況である。「巨人の最下位」は2018年6月9日以来、5年ぶり。「原辰徳監督での最下位」となると、2012年4月25日以来、11年ぶりの屈辱だ。
しかし、覚えているだろうか。その2012年シーズンの原巨人は、最終的にはリーグ優勝、そして日本一に輝いているのだ。
となると、今回の最下位転落は「吉兆」と捉えることもできるが、当時とはチーム状況が異なる。ただ、大反撃となった過日の体制に近づけていくことはできるかもしれない。
「2012年の優勝と日本一の最大の功労者はセットアッパーの山口鉄也(現コーチ)と言われています。72試合に登板する鉄腕ぶりを発揮し、クローザーにつないでいました。リードしたら、そのまま逃げ切る試合が多かった印象です」(ベテラン記者)
山口現コーチのようなタフネス・リリーバーは、なかなか現れない。しかし、クローザー・大勢につなぐリリーフ陣の再整備が今後のカギとなるのは確実だろう。さらに重要なのはチームのムードメーカーだ。
「2011年のオフに巨人は、アレックス・ラミレス氏を解雇し、『4番・阿部慎之介』の新打順で臨みました。結果、阿部がチームを牽引するようになりましたね。日本シリーズで、マウンドの澤村拓一(現・千葉ロッテ)のところまで行き、頭を軽く叩いて叱咤したシーンは有名です」(球界関係者)
原監督は最下位転落となった14日と、16日には不振の坂本勇人を「3番」に入れる新打順で臨んだ。一方、新主将・岡本和真は15日にようやく適時二塁打を放って打点2を記録したが、得点圏打率は1割にもみたない(17日現在)。
リリーフ陣の再構築と、岡本が阿部現コーチの「ポカリ事件」と同じくらい「インパクトの強いリーダーぶり」を発揮できれば、12年シーズンの再来も可能と思えるが…。
(飯山満/スポーツライター)