除外勧告が一転してOKに…IOCバッハ会長「ロシアとベラルーシの五輪参加」に批判殺到!

 パリ五輪の開幕が来年7月26日に迫る中、ロシアとベラルーシ両国の選手の参加の可否で右往左往している国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長。東京五輪時には側近を率いて日本国内を大名旅行し、「ぼったくり男爵」と呼ばれたものだが、今度は「二枚舌男爵」とでも呼ばれそうな事態に陥っている。

「IOCは3月末のIOC総会初日に、五輪予選を兼ねる国際大会での両国選手の扱いについて、『中立』を条件に受け入れるよう、各競技の国際組織と大会関係者に勧告しました。ただ、過去にロシアがドーピングの問題で処分を受けた時、『OAR(ロシアからの選手)』や『ROC(ロシアオリンピック委員会)』といった表示を認めたものの、結果的に制裁効果が甘かったという苦い過去を踏まえ、ユニフォームは完全な白か単色にするなど、以前よりさらに『中立性』を高めた条件を提示しました」(スポーツライター)

 中立の条件としては、「個人資格」か「中立国所属」に限られ、チームとしての参加は認めない、国旗の使用はSNSでも制限され、中立性を損なう発言も行わない、など6項目が課せられている。だが、こうしたIOCの判断に反発する声も少なくないのだ。

「そもそもIOCは、昨年2月段階では両国選手を国際大会から除外するよう勧告していたんです。それが、今年1月に突然、『中立』を条件に受け入れると言い出しました。これにはボイコットも辞さないとしたウクライナを筆頭に、欧州を中心に反発が高まりましたね。今回の勧告は今年1月段階の判断を継続したわけですが、煮え切らないIOCの対応策に批判が殺到したのです」(前出・スポーツライター)

 例えばアトランタ五輪金メダリストで、プロボクシングの元ヘビー級王者のウラジミール・クリチコなどは、やはり元ヘビー級王者だった兄のビタリが現キーウ市長であり、ともにロシア相手に戦っている最中なだけに、

「バッハはロシアに奉仕している」

 と怒り心頭だ。また、ウクライナの女子テニスのマルタ・コスチュクは、「昨年から両国人をこのスポーツから排除するために戦ってきた」と語った。ウクライナ人だけでなく、チェコの元NHL(ナショナルホッケーリーグ)で活躍したドミニク・ハシェクもバッハ批判を隠さない。

 当のバッハ氏は総会締めくくりの30日に、「(受け入れに賛同しないことが)嘆かわしい」との見解を示した。もっとも、パリ五輪での両国選手の参加についてはまだ決定しておらず、バッハ氏が「二枚舌」と批判される背景には、相変わらず政治に振り回される五輪の現状があるようだ。

(猫間滋)

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