目的は二重国籍? ロシアで「妊婦の出国」が急増中!

 知っているようで意外と知らない国籍の取得方法。世界には出生地に関係なく両親あるいは父親の国籍を取得する「血統主義」、両親の国籍に関係なく生まれた場所の国籍を取得する「生地主義」の大きく2つがあり、日本は前者。これに対して米国やカナダなどは後者になるため、両親が日本人でもこれらの国で生まれた子供は両国の国籍を持つことになる。

 実際、我が子に二重国籍を持たせたいと、妊娠しても帰国せずに現地で出産する駐在員の妻は多く、この仕組みに注目したのがロシア人たち。ウクライナ戦争開戦後、海外で出産するロシア人女性が急増しているという。
 
「なかでも圧倒的に多いのがアルゼンチン。フランスの『AFP通信』はこの数カ月で5800人のロシア人妊婦が入国したと報じています。国籍に関しては米国と同じ生地主義で、開戦後も両国の関係は良好。ビザなしで入国できることも大きいようです」(国際ジャーナリスト)

 隣国ブラジルも生地主義を採用しており、ロシアの友好国だがアルゼンチンのほうが治安も良く、医療レベルも欧米諸国並み。そもそも同国への“出産旅行”は2010年代の半ばごろから行われており、サポートする斡旋業者も数多く存在する。

 費用は業者やプランによって異なるが5000〜1万5000米ドル(約67〜202万円)。平均年収が日本の半分にも満たないロシア人にとっては重すぎる費用だが、それでも海外出産を希望する女性は後を絶たない状況だ。
 
「戦争の影響で徴兵が本格的に始まり、政府からの発表以上の戦死者が出ていることを多くのロシア国民は知っています。二重国籍を持っていれば移住のハードルは各段に低くなり、平和な場所で子供を育てられる。この流れはウクライナ戦争が終結しない限り収まらないでしょうね」(前出・ジャーナリスト)

 今の状況が続けば、二重国籍を持つ者がロシア以外の国籍を選ぶ可能性は極めて高い。数十年後には人材流出で深刻な影響が出るかもしれない。

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