温泉大国の日本にあって年々姿を消しつつあるのが混浴風呂だ。この30年で混浴の浴場を備えた宿泊施設、公共浴場は半数以下に激減しており、現在は全国に500カ所ほど。そんな絶滅危惧種となっている混浴温泉だが、昨今は若い女性の利用客が急増しているという。
実は、増えているのは欧米の外国人女性観光客。日本旅行の目当ての1つが温泉という外国人は多いが、なぜ混浴なのか。
「カップルで入りたいというニーズがあるからです。温泉宿によっては貸し切り露天風呂を備えたところもあり、以前から海外の方には人気でした。大浴場だと他のお客さんもいますが、海外にはヌーディストビーチがあったり、なかには水着ナシでの混浴サウナが当たり前の国もある。そのため、欧米の女性はそこまで抵抗感がないんです」(旅行誌編集者)
なかでも外国人から特に人気のある混浴温泉は、海外の人気旅行ガイド「ロンリープラネット」で「日本の温泉トップ10」の1位に選ばれたこともある「宝川温泉」(群馬県)だという。他にも文化財としても価値のある「酸ヶ湯温泉」(青森県)や仙人風呂で有名な「川湯温泉」(和歌山県)、27種類の源泉を持つ「万座温泉」(群馬県)なども人気が高い。
「いずれも浴場や露天風呂の規模も大きく、風情もあり景色も抜群。もっとも、今はネットで温泉情報が簡単に得られるため、日本人の間でもマイナーな混浴温泉に来る外国人も増えています。今の季節だとスキーを一緒に楽しむ人も多く、甲信越や東北などの雪国の混浴温泉が人気ですね」(前出・編集者)
では、日本人の女性は皆無なのかと言えばそうでもないらしい。
「最近は多くの混浴施設が湯浴み着を用意しています。また、白濁や赤茶系などの濁り湯なら身体も隠れるため、日本人の若い女性客にも抵抗が少なく、人気がありますね」(前出・編集者)
絶滅危惧種とはいえ、日本の文化でもある混浴風呂。たまにはゆっくりと楽しんでみてはいかがか。