旅館の紹介ページには「玉石敷のお風呂は自然の川に浸かったように全身をリフレッシュさせます」という文言が美しい大浴場の写真に添えられている。
この旅館は創業1865年、昭和天皇も宿泊したことがあるという福岡県の老舗旅館「大丸別荘」。
だが、今、この旅館をめぐって大騒動が勃発している。
福岡県の条例により、週に1回以上は交換義務のある大浴場のお湯を、1年にたった2回しか替えていなかったことが保健所の検査で判明したのだ。さらに塩素の注入も日常的に怠っていたため、浴槽からは基準の3700倍のレジオネラ属菌が検出された。
「しかも県の調査に対し旅館側は、違反はしていないと虚偽の報告をしていたのです。現在は認めてHPで謝罪していますが、素泊まりでも一泊2万円以上、少しいい部屋で朝食を付けると5万円もするという老舗高級旅館ですからにわかには信じられない話です。当然ながらネット上では《年2回も怪しい》《顔まで浸かったことがあるのに…》など批判が殺到しましたね」(週刊誌ライター)
検出されたレジオネラ属菌は感染すると肺炎を引き起こす。これまでも各地で感染による死亡事例が複数報告されている。ちなみに、レジオネラ属菌は沼や河川の水の中で繁殖する菌で、プールなどの大量の水を溜める場所に発生するという。
「自然の河川に繁殖するわけですから『玉石敷のお風呂は自然の川に浸かったように…』という紹介文がウソではなかったと、温泉ファンが皮肉る声までありました。一方で、SNS上では《回転寿司の次は温泉も行けなくなるのか》と、社会問題となっている迷惑動画と同レベルの悪質さだという反応まであります」(前出・週刊誌ライター)
ある温泉ライターは、今回のような事例は氷山の一角として、こんな信じがたい実態を明かす。
「源泉掛け流しを謳いながら、実際は水道の水を沸かしているだけ、という宿もありますね」
利用客を騙すような宿に対しては、行政による厳しい措置が必要だろう。
(山田ここ)