現時点における、地上で観測された世界の最低気温は、摂氏マイナス89.2度。これは、1983年7月21日に南極大陸にあるソビエト連邦のボストーク基地で記録されたものだが、なんと、アメリカ東部ニューハンプシャー州で3日、史上最低の体感温度となる摂氏マイナス77.8度が記録されたとして話題になっている。
「最低気温が計測されたのは、同州にある標高1900メートル地点にあるワシントン山観測所。この日は、北極圏からの冷たい空気により、気温がマイナス43度まで低下。体感温度というのは、気温に風の影響を加え算出するものですが、当日は時速200キロメートルの突風が吹いたことから、この数字が割り出されたようです。ただ、南極ならまだしもアメリカでこの体感温度ですからね。米メディアでも『最近の火星よりも寒い』と報じ、視聴者を驚かせています」(全国紙記者)
一方で前日2日には、米北西部ワシントン州にあるレーニア山とグレイシャーピークの山岳地帯で、数千年に渡って存在してきた氷河が地球温暖化により消滅したとCNNが伝えたばかかり。
「発表したのは、この氷河を長年にわたって観測を続けてきた米ニコルズ大学の氷河学者。同氏によれば、消滅したのはシアトル東部のカスケード山脈にある最大の氷河、ヒンマン氷河。2022年の夏、米北西部が猛暑と干ばつに襲われる中、調査隊が見に行くと、氷河はすっかりなくなって“ヒルマン湖”に変わり、ところどころに氷塊の痕跡が残っている状態だったといいます。最近の研究では、今世紀の終わりまでに地球上に存在する氷河の半分が、失われる可能性があるとの指摘もある。片や最低気温の更新、片や温暖化による猛暑干ばつと、急速な気候変動の影響で地球が悲鳴を上げているということは間違いありません」(同)
アメリカ東部での気温低下の要因は、カナダ沿海州から米国中心部に至る北極前線が形成されたためとされるが、近年は世界的にみて、夏には記録的な暑さを記録し、逆に冬はとてつもなく気温が低下するという現象が起こっている。
「昨年7月には、スペイン南部で最高気温43.6度、フランス南部で同39.4度を観測するなど、ヨーロッパ東部から北アフリカにかけて広い範囲で、500年ぶりと言われる記録的な高温に見舞われました。原因は、地球温暖化に伴う全体的な気温の上昇傾向と、偏西風の蛇行で高気圧に覆われたことによる、南からの暖かい空気の流入。さらに強い日射しの影響で、地表付近の気温が上昇したことが考えられます。地球の中緯度に流れる偏西風は南北に大きく持続的に生じることがあり、これが持続すれば異常気象となるといわれています」(同)
日本でも昨年6月、群馬県伊勢崎で最高気温40.2度を記録。3年前までは、40度超えは7月と8月だけだったが、昨年は6月時点で40℃超えし、2年前には新潟県三条、中条で9月に入ってもなお40度超えを記録している。
昨年から今年1月にかけての大寒波と異常な積雪量は言わずもがなだが、冬が寒ければ夏は暑いが当たり前となった昨今。今年の夏も平安時代以来と言われる「千年猛暑」が不安視されている。
(灯倫太郎)