北アルプスは「氷河」の宝庫だった!認定相次ぐ中、早くも消失の危機

 標高3000m級の山々が連なる北アルプス。まさに日本の尾根と言っていい存在だが、ここには夏場でも雪が溶けず残っている雪渓と呼ばれる場所が存在する。

 だが、白馬山案内人組合や新潟大などで組織される「白馬連山氷河調査団」の調査によると、このほど長野県白馬村にある4つの雪渓は、いずれも氷河である可能性が高いことがわかったという。どちらも見た目はほぼ一緒だが、氷河は氷雪の塊が少しずつでも動くのに対し、動かないのが雪渓と定義されている。

「従来は専門家でも判別が難しかったのですが、測量用GPSなど最新鋭の機器が登場したことにより観測が容易になりました」(アウトドアライター)

 近年、北アルプスでは12年の剱岳の三ノ窓氷河、小窓氷河、立山の御前沢氷河をはじめ、これまでに7つの雪渓が学術的に氷河と認められている。今回確認された4カ所はまだ正式に認定されてはいないが、氷河の宝庫といっても過言ではない。しかし、喜んでばかりではいられないようだ。

「これは氷河だけでなく雪渓にも共通して言えることですが、冬場の降雪量の減少や地球温暖化の影響でそう遠くない将来、消滅する恐れがあるからです。特に状態が悪いのが小窓氷河。以前に比べて後退が著しく、消えるのは時間の問題とも言われています」(同)

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書では、2100年までに地球上の氷河の25%から50%が消失するとの予測を立てている。標高が高い北アルプスでも夏場には稜線付近の気温が20℃を超えることもある。融解が想像以上のペースで進んでいるのは間違いなさそうだ。

 海外では米国ワシントン州にあるヒンマン氷河、南米ベネズエラにあるフンボルト氷河などすでに消滅した氷河も少なくない。北アルプスの氷河を見に行くなら今のうちかもしれない。

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