22年「盗難車増加」の理由は「ウクライナ戦争」だった!?

 近年、日本国内では減少傾向にあった自動車盗難事件。しかし、警察庁によると今年1〜10月の「自動車盗難認知件数」は4750件と前年同時期(4344件)より1割増えているが、その背景にはウクライナ戦争が大きく関係しているという。

 なかでも高級車と並んでターゲットにされているのが旧式のトヨタ「プリウス」。実は、世界的に被害が急増しており、北米では同車のマフラーが盗まれる事件が多発。米国では摘発された窃盗団の拠点からなんと4万4000個が発見されている。

 マフラー内の触媒コンバーターにはプラチナやロジウムなど複数のレアメタルが使用されており、特にハイブリッド車は電気モーター用とガソリンエンジン用の2つが搭載。しかも、近年は各種レアメタルの相場が上昇を続けており、それが狙われる理由なのだ。
 
「もっとも希少性が高いのがパラジウム。自動車の排気ガス浄化用の触媒に欠かせない素材で、主要産出国はロシアなんです。ウクライナ戦争後の経済制裁の対抗措置としてロシアが輸出を停止したことで高騰。取引価格のピークは越えたものの、いまだ昨年の同時期よりも高値で、今後も世界的品薄の影響で上昇トレンドが続くと思われます」(カー専門誌編集者)

 6年前の小売価格は1グラム2000円台前半だったが、現在の価格はおよそ4倍で金とほぼ同じ。22年3月9日には、これまでの最高値となる1万3766円を付けている。

「盗難の手口もこれまでは車のスマートキーから発する微弱な電波を読み取って解除する『リレーアタック』や『コードグラバー』が主流でしたが、対策を講じられたことで新たに『CANインベーター』という手口が普及。従来の盗難防止装置も効かず、平均犯行時間も3〜5分と短くなっています。高級車以外は所有者もそこまでセキュリティに気を使っていないため、残念ながら盗難天国になっているのが現状です」(前出・編集者)

 愛車がハイブリッド車の方は盗難対策を改めて見直したほうがよさそうだ。

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