習近平・プーチンがタッグを組む「上海協力機構」が日本に与える脅威

 ウクライナ戦争が始まってからニュースで目にする機会が増えた、北大西洋条約機構(NATO)。北米と欧州の西側諸国32カ国で組織され、加盟を求めるウクライナに関しては慎重な姿勢だが、武器や物資の支援は開戦以来継続して行っている。

 このNATOに対し、冷戦時代はソ連を盟主とする通称ワルシャワ条約機構が存在し、当時社会主義だった東欧諸国が加盟していたが同国崩壊の5カ月前の1991年7月に解散。その後、新たな軍事同盟としてバルト三国とウクライナを除く旧ソ連圏の国々が加盟した集団安全保障条約機構(CSTO)が発足したが、NATOに比較すると見劣り感が否めない。

 しかし、これとは別の新たな対立軸として西側諸国が懸念しているのが、上海協力機構(SCO)だ。2001年に設立され、現在は10カ国が加盟。その中にはロシアや中国、イラン、ベラルーシといった反米国が名を連ねる。

「ユーラシア大陸の安全保障の確立を掲げ、中央アジアや南アジアの国々が加盟。さらにオブザーバーや対話パートナーという形で東南アジアや中東などの国々も参加しています」(軍事ジャーナリスト)

 加盟国は軍事協定が締結されており、中国がロシアに武器など軍需物資の支援を行っているのは報道などで知っている人も多いだろう。さらに同機構では加盟各国による合同軍事演習も定期的に実施している。

「しかも、イランとベラルーシが正式加盟したのはそれぞれ昨年、今年のことで、昨年にはUAEやミャンマーなど新たに4カ国が対話パートナーとなっています。こうしたSCOの勢力圏拡大は、NATOへのけん制との見方もあります」(同)

 だが、覇権主義のロシアと中国がそもそも共存できるのだろうか?

「ウクライナ戦争による疲弊で2頭体制だったパワーバランスが中国に傾きつつありますが、米国という共通の敵がいる間はもつでしょう。日本にとっては非常に大きな悩みのタネ。この2カ国と海を隔てて接しており、NATO加盟国よりも潜在的な脅威に晒されているといっても過言ではありません」(同)

 もはや対岸の火事では済まされない状況となりつつあるようだ。

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