12月25日、広告であることを明示せずに個人の感想であるかのように装い商品を宣伝する、いわゆる「ステルスマーケティング(ステマ)」を巡り、政府が規制強化に乗り出すことが分かった。違反者は刑罰の対象になるというが、一方でテレビ番組でのステマチックな演出がスルーされていることに疑問の声も上がっている。
これまでネット上ではたびたびステマが問題視されており、近年では多くの芸能人が参加していたペニーオークション事件や店側から有料で口コミを依頼していた食べログ問題、動画共有サービスがインフルエンサーに動画の転載を依頼していたステマ疑惑などが大きな話題となっていた。
しかし、これまで日本にはステマを規制する法律がなかったため、消費者庁の有識者検討会が近く規制についてまとめる方針で、景品表示法で禁止する「不当表示」に含める方向で調整されると見られている。
なお、ステマが不当表示となって以降も同様の行為を行った場合は、再発防止を命じる措置命令が出され、ステマを依頼した広告主の名前が公表される。また、措置命令後も命令に従わなかった場合は刑罰の対象になるため、逮捕者が出る可能性もある。
「ネット上のステマに対しては厳しい対応が取られるようになるかもしれませんが、一方で《テレビはステマだらけなのに放置されてるの?》といった疑問の声もあります。放送法の12条には、対価を得て広告放送を行う場合には、その放送を受信する者が、その放送が広告放送であることを明らかに識別することができるようにしなければならないと明記されている。しかし、巨大ショッピングセンターでの爆買い企画や有名料理人がジャッジして商品や料理をランク付けする企画などなど、明らかに宣伝化している番組は少なくなく、視聴者からは疑惑の声も上がっています。そこに協力費などの名目で金銭が介在していたり、商品を過剰に提供するなどの優遇行為がおこなわれていないのか、テレビの企画もしっかりと調査してもらいたいものですね」(フリージャーナリスト)
果たして、テレビのステマにはメスが入るときが来るのだろうか?
(小林洋三)