英経済誌が指摘!韓国縦スク漫画「ウェブトゥーン」に食われる日本の漫画市場

 韓国の縦スクロールのデジタルコミックのウェブトゥーン。本国韓国はもちろんのこと、日本やアメリカでもその人気が広がり、さらには欧州、中国、東南アジアにも拡大しつつある。

 ウェブトゥーンではネットフリックスでドラマ制作された「梨泰院クラス」や「Sweet Home−俺と世界の欲望ー」などが有名。梨泰院クラスは原作の舞台を六本木に移した「六本木クラス」もコミック化され、7月には竹内涼真主演のテレビドラマになったことでもお馴染みだ。すると世界的に有名なイギリスの経済誌が本家・日本との違いを引き合いに、韓流人気にマンガが押されていると報じた。

「報じたのはかの有名な『エコノミスト』誌です。12月10日付け記事でウェブトゥーンに言及し、日本のマンガ市場の縮小や読者人口の高齢化、果ては韓国政府がこれまで行ってきた韓流コンテンツの後押しと日本政府のクールジャパン政策と比較して、日本のマンガ産業の旧態依然ぶりをくさした内容です」(経済ジャーナリスト)

 韓流コンテンツではBTSやイカゲームといった世界的ヒットがあるが、それらの勢いと同様、マンガの世界でも韓国のウェブトゥーンに押されているというのだ。

 ウェブトゥーンは縦スクロールでページの概念がない巻物のようにスラスラと次に進むため、物語世界への没入感が高く、フルカラーでBGMも付いている。21年に4400億円だった市場は、28年には3兆円規模まで拡大すると見られている。日本ではLINEマンガ、comico、ピッコマなどをプラットフォームにして読める。
 
 デジタル時代のマンガの楽しみ方としてウェブトゥーンは優れているわけだが、そうは言っても後発の韓国。なぜこれだけ世界に広がりつつあるのか。

「韓国のエンタメ産業を語る際に良く言われることですが、それは韓国の国内市場が小さいからです。だから最初からグローバル展開を前提に、産業とコンテンツが作られているんです。加えてこれも良く知られているように、韓国は国がバックアップしてコンテンツ産業の輸出に力を入れてきました。きっかけは97年の通貨危機による経済危機でした。98年に大統領に就任した金大中は『文化大統領宣言』というのをしたぐらいですから、時間をかけて国家戦略として育ててきた経緯があります」(同)

 一方、日本では10年に経産省が「クール・ジャパン室」を設置してクール・ジャパン戦略を取ってきたわけだが、いかんせん気合が違う。だからエコノミスト誌が余計なお世話で日本マンガの衰退を言うわけだが、政治的には正しい指摘なのだ。

(猫間滋)

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