入門マニュアル「シニア再就職のリアル」〈レンタル重機清掃員〉(1)高圧洗浄機で楽チン

 そもそも、ごく一般的には「重機レンタル」という商売に馴染みはないが、返却された重機を清掃するという業務まであった。高齢者でも簡単だという、その中身とは─。

 当事者に話をうかがう前に、ネットで「重機レンタル」「清掃」「バイト」などと検索してみると、想像以上にたくさんのヒットがある。都内はおろか、全国にわたって需要がある職種のようだ。

 関西エリアでレンタル重機清掃員を務める、坂本浩二氏(68)=仮名=が語る。

「ワシは65までダンプの運ちゃんやっとった。定年なって、横の繋がりで教えてもろうた仕事や。重機清掃って、年寄りでも簡単にできるんよ。採ってもらう前に持病は聞かれたけど、『何も』って答えたら、即採用やったわ」

 清掃といっても、扱うのは重機。何か特別な資格でも必要なのだろうか。

「単なる清掃やから、何もいらんな。重機の免許もいらんよ。まあ、昔は名前さえ書いたら免許くれたなんて話も聞くけど、自分で動かさなくたって従業員に動かしてもらって、それを洗えばええだけやからな」

 重機レンタルでは建築現場の用途によってユンボ、ショベルカー、ブルドーザー、ロードローラー、ダンプからランマー、プレートに至るまで貸し出している。大抵は、先方がその重機を使う工程の最終日の夜に返却してくるが、その翌日に清掃員が活躍するというわけだ。

 事務所の裏に回ると2〜3台の重機が置かれていて、各人が1台ずつの清掃を受け持つという。

「基本的に、借りたほうは重機の泥を落として掃除して返さなきゃならんのよ。貸すほうは渡す前に動画を撮っとって、戻ってきたら『ちょっとへこんどるね』なんてペナルティーを取ることもある。向こうは難癖つけられないよう、一応はきれいにしよるよ。だから清掃ったって、そうそう大したことはせんわ。まあ、建築現場は水がないとこもしょっちゅうやから、それなりに泥が残っとることはよくあるけどな」

 重機のアームやアタッチメント部分、タイヤなどの汚れは、専用の高圧洗浄機を使って落としていく。

「工業用の洗剤を薄めた液体で高圧洗浄するんよ。高圧洗浄機自体は人間の下半身ぐらいあって重いんやけど、タイヤが付いとって乳母車みたいに回りよるから簡単や。誰でもできるわ。それで、ガラスは洗剤つけてブラシで磨くわけや」

 重機の外側がきれいになったら、車内もクリーニングする。

「食器洗うような洗剤でシートやレバーを雑巾がけすれば、汚れは落ちるな。ハイターだと色落ちしちゃうんでダメらしい。いろんなとこ拭くから、きっつい姿勢になったりで大変かって? いやいや、そりゃあ腰痛い、肩痛いぐらいはあるけど、無茶なことはしてないからな。手袋やゴーグルも会社に用意してもらっとるし、作業着用にレインコートみたいなもんだけ持参していけば特に問題なく、楽しくやっとるだけだわ(笑)」

「重機」と言っても、特別に重く考える必要はなかった。当初の説明通り「単なる清掃」のようである。

*週刊アサヒ芸能11月24日号掲載

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