球場入り後に通達…長野久義「巨人復帰」で思い出される「屈辱の指令」

 長野久義が巨人に復帰する。2018年オフ、丸佳浩をFAで獲得した際、28人のプロテクト名簿から外れ、人的補償として広島へ移籍したので「5年ぶり」の古巣帰還となる。巨人ファンは大歓迎であり、また、無償でのトレードを認めた広島球団に多くの関係者が拍手を送っている。

「今年12月で38歳になる長野の現役生活を、慣れ親しんだ巨人で全うさせてやりたいとし、両球団の考えが合致しました。右打ちの外野手が不足していること、今季は代打成功率が高くないことからも、巨人にとってはプラス材料となるトレードです」(スポーツ紙記者)

 しかし、今回の帰還トレードは広島サイドから打診されたもののようだ。

「今季の長野の出場試合数は58。打率も2割1分1厘と大きく落としています」(広島の地元メディア)

 また広島は、左バッターではあるが、長野と同じ外野手、秋山翔吾の途中獲得に成功している。秋山の入団で長野個人の現役生活に配慮する戦力的余裕もできたのだろう。だが、こんな異例のこともあった。

「秋山の広島入りが発表された翌日の6月28日でした。長野の一軍登録が抹消されたんです。佐々岡真司監督(当時)は『試合前に二軍降格を伝えた』と話していましたが」(前出・同)

 試合前に通達したとしても、長野がマツダスタジアム入りした後だったのだろう。長野は練習終了後に佐々岡監督に挨拶をし、試合開始を待たずに球場を後にした。一般論として、二軍降格は前日の試合終了後に言い渡されるものであり、登録抹消となる当日はファームで練習するか、二軍戦にまわるものである。

 長野の立場からすれば、「練習のみ」は屈辱以外の何物でもなかったはずだ。
 
「広島の鈴木清明本部長は『夏ごろに長野と今後の話し合いをした』とメディアに答えていました。時期的に見ても“練習のみの降格”が告げられたあとのことでしょう」(前出・同)

 広島はシーズン中から今回の復帰トレードを持ち掛けていたという。

「昨季、日本ハムがノンテンダーなる新たな方法で3選手のクビを切りました。深読みすれば、帰還トレードも新手の人員整理とも解釈できますが‥‥」(球界関係者)

 7月16日、東京ドームで行われた巨人対広島戦。長野は久々のスタメン出場を果たし、2打席連続アーチで“健在”をアピールしてみせた。今回の巨人復帰に関しては、広島ファンも長野の復調を願って応援している。

(スポーツライター・飯山満)

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