開幕から9試合に登板して防御率3.08、4勝3敗(※5月18日時点)と好調を維持するボルチモア・オリオールズの菅野智之。巨人のエースを務め、昨シーズンはセ・リーグMVPに輝いたが、すでに35歳。しかも、ストレートは140キロ台後半とメジャーの中でも遅く、前評判は決して高くなかった。
だが、持ち前のコントロールの良さは米国でも健在。規定投球回数に到達した両リーグの投手では四死球の数がもっとも少ない。
「規定投球回数の5回をクリアしたのは9試合中7試合。残りの2試合も5回途中まで投げ、うち1試合は痙攣の発生が降板理由です。しかも、失点は多い試合でも4失点。大崩れせず、しっかりとゲームを作るなど安定感を見せています」(スポーツ紙記者)
オリオールズはヤンキースやレッドソックスと同じア・リーグ東地区で、現在最下位。チーム防御率がリーグ最低の5点台の中、活躍が際立っている。何よりも35歳という年齢で海を渡ってきたチャレンジング・スピリットがレジェンドたちから絶賛されている。
例えば、通算355勝のグレック・マダックス氏は、精密機械と謳われた現役時代の自身に似た菅野の投球術を高く評価。そのうえで「彼はオプションなしの1年契約。重圧がかかる中、マウンド上で自然に振る舞っている。技術と覚悟があるからこそできる芸当だ」と出演したストリーミング番組内でコメント。
また、通算219勝のペドロ・マルティネス氏も自身のポッドキャストで「夢を捨てきれずに海を渡った彼の信念と覚悟を称えたい。ここに来てまた敬意を表したい素晴らしい投手に出会った」と語っている。
そして、通算213勝154セーブと先発・抑えで活躍したジョン・スモルツ氏もラジオ番組の中で注目の選手に挙げ、「彼は技術と知性を武器に、引退を考え始める年齢でメジャーにやってきた。彼の資質はメジャーの多くの若手投手が必要とする部分」と最大級の賛辞を送っている。
「実際、ここで挙げた3人のサイヤング投手以外にも菅野投手を『注目している』『好きな選手のひとり』と話すメジャー関係者は少なくありません」(前出・記者)
35歳でメジャー初挑戦の35歳というドラマ性に加え、投球術も玄人好み。オールドルーキーは早くもレジェンドたちの“お気に入り”になったようだ。