押収大麻20トン焼却処分でトルコの街がトンデモないことに!知事が主導の呆れた大騒動

 以前、ブラジル南東部に位置するリオデジャネイロ沿岸海域で、大量の「コカイン・シャーク」が出没した、とのニュースが大きな話題になったことがある。

 コカイン・シャークと名付けられたのは、現地に生息する「ブラジルヒラガシラ」というサメのこと。リオの連邦公衆衛生研究施設のスタッフが海岸付近で捕獲したサメ13匹を解剖したところ、すべてのサメの筋肉や肝臓から、コカインとコカインが体内で分解されたときに生成される代謝物質、ベンゾイルエクゴニンが検出されたというのである。

 リオ周辺の海域ではマフィアによる麻薬取引が頻繁に行われているが、彼らは警察に捕まる前に“証拠”となる麻薬を海に捨てるため、それが大量に海に流れ込みサメをはじめさまざまな魚の体内を汚染している――。そんな論文が学術誌で発表されたことが、現地メディアでセンセーションに報じられた。

「薬物の不法投棄はブラジルだけではなく欧米でも大きな問題となっていて、かねてより米フロリダ州沖をはじめ、ロンドンなどの大都市近郊の川、湖に廃棄される合法・違法問わずの薬物が野生生物の生態に多大な影響を与えていることが指摘されていました。というのも、ケミカル系の薬物は一度体内に入ると消えないものもある。そんな動物を人間が食べ続けた場合、知らず知らずに人間も汚染される可能性がある。だからこそ、薬物の不法投棄は絶対にあってはならないことなんです」(国際部記者)

 ところが、あろうことかトルコ南東部ディヤルバクル県で4月、憲兵隊が空き地で大麻20トンを焼却処分。その煙が住宅地に流れ込み、住民がめまいや吐き気、呼吸困難を起こし、地元弁護士会が「公衆衛生に対する攻撃だ」として告訴状を提出する大騒動に発展しているという。

 地元メディア「テレ1」などによれば、空き地で燃やされた大麻は、2023年から24年にかけて押収された約20トン。日本円にすると総額で370億円以上に相当するという。

「20トンの大麻が燃やされたのは、ディヤルバクル県のリジェ地区憲兵司令部の麻薬破壊区域。知事が結成した委員会の立ち会いで実行されたのですが、同地区は2万5000人が暮らすエリアで、町全体が煙で覆われたそうです。しかも、憲兵隊は自分たちの功績をアピールするかのように、ご丁寧に大麻を詰めた袋を『LICE(リジェ)』という文字に並べ、200リットルの軽油をかけたという。地元住民の間からは健康被害の訴えだけでなく、『大麻の匂いで窓を開けることもできなくなった』『子供が学校に通えなくなった』『病気医になっても病院に行けなくなった』といった訴えが行政に続出。結局、煙の影響は5日以上が経過しても続き、町中がとんでもない迷惑を被ったというわけなんです」(同)

 指示した知事は20トンもの大麻を屋外で一気に燃やせば、あたりがどうなるかを予測できなかったのか。コカイン・シャークの問題同様、大麻を巡る人間の愚かさを露呈した事件である。

(灯倫太郎)

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