広島・長野久義が古巣・巨人に復帰する。11月2日、両球団により「無償トレード」であることも正式発表されたが、この復帰劇は多方面に影響を与えていたようだ。
「長野も会見に応じ、球団、ファン、チームメイトに謝意を述べるとともに、広島側から復帰を提案し、動いてくれたことにも感謝していました。両球団のファンも今回のトレードに好意的です」(スポーツ紙記者)
両球団の関係者によれば、広島はシーズン終盤から巨人サイドに今回のトレードを打診していたという。しかし、巨人側は即答を避け、広島側に連絡を入れ直したのはドラフト会議後だったそうだ。
「巨人が『右打ちの外野手』『右の代打』を探していたのは間違いありません。でも、本当に欲しかったのは『ポスト坂本』です」(球界関係者)
ポスト坂本とは、正遊撃手という意味ではない。今季の敗因として、首脳陣は「坂本不在」の間のリーダー役がいなかったことを挙げていた。また坂本自身、過去の女性問題が取りざたされたり、打撃不振でチームを牽引できなかった期間を悔やんだいた。
改めて、坂本の存在の大きさを認識させられるが、「坂本にズバズバものが言えて、不在の間に代わってチームを牽引できる人材も必要ではないか?」の声も挙がっていた。
「チーム内に坂本を叱れる人は阿部慎之助ヘッドコーチしかいません。もちろん、原辰徳監督が怒るときもありますが、首脳陣が前に出てまとめるよりも、選手内で解決するのがいちばんです。だから、ソフトバンクを退団した松田宣浩に興味を示したんです」(前出・同)
松田は来季40歳、年齢的にも坂本よりも上であり、苦言を呈するときがあれば、“汚れ役”も務めてくれるはずだ。「右の代打」としても、補強ポイントに合う。
松田と長野を天秤に掛けていたために、広島への返答が遅れた‥‥と考えるのは訝り過ぎだろうか。
「松田の去就については、中日も興味を示していたようでしたが、もうその話は聞かれません。松田ほどの選手なら、移籍先が見つからないなんてことにはなりませんが」(前出・スポーツ紙記者)
巨人はいっそ、松田も獲得するのか? 原監督は“坂本不在時”の精神的支柱としても長野に期待しているようだ。
(スポーツライター・飯山満)