コロナも円安も怖くない!? 帝国データバンクによると、回転寿司の市場規模は今や7400億円を超えるという。そんな外食産業の激戦区にあって「1皿100円台」の激安価格で絶品ネタを提供し続ける3大チェーンを徹底解剖。回転寿司店に魅せられた3賢人が、さらにお得に食べる裏技を紹介する。
結論から言おう。原価率が高い回転寿司は、のれんをくぐった時点で十分に得をしているのだ。
原価率とは、価格に占める材料費の割合を指す。一般的な飲食店は30%前後と言われる中、回転寿司はおよそ50%という高い水準で客に還元してきた。
幾多の店を取材してきた回転寿司探求家の下関マグロ氏は言う。
「自分のペンネームがマグロでしょ? だからお店の人がこっそり教えてくれるんです。【1】原価率が高いのはマグロ。だけど客はマグロ目当てに来るし、リピートしてもらうために味は落とせない。薄く切ったペラペラのマグロなんて言語道断。子供が好きなタマゴとかツナマヨのような原価20円ほどのネタでバランスを取っているんです」
だが、燃料費の高騰や円安の影響で、魚介の仕入れ値は高くなるばかり。果たして経営は成り立つのか。
著書に「回転寿司の経営学」(東洋経済新報社刊)がある評論家の米川伸生氏に最新事情を聞くと、
「昨今は100円台の最低価格の皿だけでなく、200円台、300円台の高額皿がよく出るようになって、相対的に原価は下がっています。スシローと無添くら寿司(以下、くら寿司)で45%くらいでしょうか」
はま寿司を加えた「3大チェーン」の中で、スシローとくら寿司は10月から料金を改定した。
「10円、20円の値上げって大きいんですよ。というのも、これまでは100円で出しても十分に利益が出ていたイカ、タコ、エビの仕入れ価格が上がり、こうした定番の低額皿を安定供給するために値上げに踏み切ったという見方ができます」(米川氏)
企業努力を積み重ねてシノギを削ってきた御三家チェーン。米川氏に特徴を解説してもらおう。
「何より店内調理にこだわっているのがスシローです。かつて回転寿司チェーンといえば、セントラルキッチンでカットされたネタを使って均一性を重視していたのが、そうした常識を覆して、とにかく店舗で手間をかけるようにしたんです。マグロ、ハマチ、マダイを店舗で切りつけするようになったのはスシローが最初で、結果的に『スシローの寿司はおいしい』と評判を呼び、他のチェーンも追随せざるを得なくなったんです」
業界トップの店舗数649(10月現在)はダテじゃない!?
*週刊アサヒ芸能11月10日号掲載