回転寿司チェーン「すし銚子丸」は3月3日、回転レーンでの寿司の提供を終了させることを発表した。今後はタッチパネルを使用したオーダーに変更されることから、回転終了を惜しむ声も多く見られるが、売上への影響はないのか。
「銚子丸によると、『昨今の飲食業界に大きなダメージを与えている迷惑行為への対策』として、4月26日までに回転レーンを使用した商品の提供をやめ、フルオーダーシステムに移行するといいます。これに伴い、商品の価格に合わせた色皿の使用も廃止するそうですが、今後は全商品をタッチパネルで注文するため会計金額は変わらないと説明しています」(フリーライター)
同チェーンでは2月4日、横浜の店舗で共用ガリの中に電子タバコの吸い殻が混入する迷惑行為に遭っていたことが判明。以降、カウンターやテーブルに置かれていた醤油、粉茶、わさびなどの共用品は来客のたびに提供する方法に変更していた。しかし、多くの回転寿司チェーンで迷惑行為が収まらないことから、今回の対応を決めたとみられている。
「この発表に対し、ネット上では寿司が回転しなくなることを悲しむ声や迷惑行為をした者たちへの怒り、そして『脱回転』による売上減少を心配する声も見られますが、売上に関してはほとんど影響はないと考えられます。マルハニチロが発表している『回転寿司に関する消費者実態調査 2022』によると、回っているネタと注文して握ってもらうネタのどちらを多く食べるか聞いたところ、回っているネタを食べると回答した人は17.9%と2割にも満たなかったのです。また、回っているネタを食べる客の中には《注文したネタが来るまでのつなぎとしてレーンのネタを食べる》という人もいるため、フルオーダー制によって利用をやめてしまうパターンは少ないと考えられます。回転レーンでの提供を完全終了させることでフードロスは確実に減ることから、むしろ利益は伸びる可能性もあります」(経営コンサルタント)
寿司が回転しないことに一抹の寂しさはあるが、銚子丸が良い方へ回っていくよう願うばかりだ。
(小林洋三)