回転寿司チェーン「値上げラッシュ」でもかっぱ寿司は「100円メニュー拡大」その結果は…

 値上げの波はとどまるところを知らず、2023年2月には3000品目で値上げが決まっており、今年を上回る規模だという。

 食で庶民の味方とも言うべき回転寿司でも、大手4社の値上げに動きがあった。ただ、各社の「値上げの方法」によって明暗がわかれ始めている。

 まず10月から値上げに踏み切ったのがスシローとくら寿司だ。スシローは1皿10〜30円の値上げで、くら寿司は「110円/220円」から「115円/165円」の価格改定を行った。価格を据え置いたのが、はま寿司とかっぱ寿司で、はま寿司は5月に値上げを行ったが110円と165円の主力は据え置き、かっぱ寿司は真逆の100円メニューの拡大に踏み切った。するとどうなったか。

「はま寿司は単体での月次の動きを公表していないので詳細はわかりませんが、売り上げで見ると、スシローは9月まで100%前後で推移していたものが、10月85.4%、11月78.3%と大きく落としています。くら寿司は9月の126.7%に対し、10月113.7%、11月103.9%とやはり苦戦、かっぱ寿司は9月の120%に対し、10月97%、11月98%でこちらも苦戦ですがなんとかこらえているといったところでしょうか」(経済ジャーナリスト)

 スシローが100円から値上げしたのは創業38年で初めてだったというから、大きな決断だったのだろうが、同じ値上げでも、くら寿司のような価格帯の見直しではなく単純な値上げだったのが大きく響いたようだ。

「客数の動きを見ても、前年同月比でスシローは10月79.9%、11月73.1%でかなり客足が遠のき、くら寿司は10月99.5%、11月91.6%。かっぱ寿司は10月97.8%、11月97.8%で底堅いですね」(前出・経済ジャーナリスト)

 スシローは6月に、実際は売り切れていた商品のキャンペーン広告を出し続けていたのが「おとり広告」に当たるとして消費者庁から再発防止を求める措置命令を出された。また、7月には期間が掲載されていない「ビールジョッキ半額キャンペーン広告」を掲示したことで炎上するというトラブルもあった。

 一方、9月にはかっぱ寿司を運営する「カッパ・クリエイト」の社長が、以前に勤めていたはま寿司の営業秘密を不正に持ち出したとして、不正競争防止法違反の疑いで逮捕された。

 こうした不祥事が売上にどれほど影響したのかは定かではないが、「価格据え置き」でかっぱ寿司が踏ん張っているのを見る限り、やはり、値上げの判断は難しいと言わざるを得ないのである。

(猫間滋)

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