入門マニュアル「シニア再就職のリアル」〈警備員〉(1)24時間働いて2日休む

 警備と保障を業務とし、大都会の黒いヒダに潜む犯罪に敢然と立ち向かう─。60年代の人気ドラマ「ザ・ガードマン」冒頭の常套句だ。ここで取り上げるのは、物価高と年金減額のダブルパンチから家計防衛に努める名もなき男たち。現役バリバリのシニア警備員に給与や勤務実態を明かしてもらった。

 ハローワークや求人広告でよく目にする職種が「警備員」だ。実際、40代から60代を対象にした求人サイト「マイナビミドルシニア」で検索すると、東京都だけで1600件以上の求人情報がヒットした。

 警備員と聞くと、「危険」「キツい」の2Kが思い浮かぶが、果たして高齢者でも務まるのだろうか。先に結論を伝えよう。楽な現場、いわゆる〝神現場〟は存在し、そこではシニア警備員がのびのびと働いていた。

 警備業界への再就職となると、屋外で自動車や歩行者を誘導する「交通・雑踏警備」か、屋内で警戒にあたる「施設警備」の2択になるが、人気なのは後者。その理由は、屋内勤務ならば雨風や酷暑といった天候の影響を受けないし、「座り仕事」というイメージが強いせいもあるだろう。

 しかし、1人目に取り上げる松坂幸雄さん(仮名)によると、現実はいささか異なるようだ。

「勤務は朝9時から翌朝9時までの24時間。日給は深夜手当込みで2万1100円といったところです」

 今年67歳になる松坂さんは、警備会社から派遣されて首都圏郊外の大型ショッピングモールに勤務している。報酬2万円超という1日の仕事の流れを聞くと、

「営業中は所定の場所で立哨してお客様をお出迎えしたり、巡回しながら落とし物、不審者の警戒にあたります。急病人の対応にあたることもあれば、駐輪場で自転車を整理することも。そしてショッピングモールの営業が終わる頃には、従業員や出入り業者の退社・退館の対応に追われ、深夜には無人の店内を巡回。早朝には出勤してくるショップの従業員を出迎えます」

 24時間勤務の中で3時間の休憩と5時間の仮眠タイムが設けられているが、仕事量は多く、何かと体力が要求されるようだ。

「月曜の朝9時に出勤した場合、翌日火曜の朝9時に上がってそのまま明け休み、水曜は公休、木曜朝9時にまた出勤‥‥というように3日に1日のサイクルで勤務しています。月に10日ほどの出勤で、月額にすると21万円ちょっとですね」

 毎日働けるわけではないが、一方で、こんなやりがいを口にする。

「商業施設という場所柄、商品やトイレの場所などを聞かれることも多くあります。そのため、人と接するのが好きなら、それなりに刺激もあって良い現場と言えるでしょう。また、ここでは万引きや理不尽なクレームも日常茶飯事。警備員はそこにいるだけで抑止力になるので重宝されるんです」

 一番の苦労は職場内の人間関係にあるようで、

「お店のスタッフの中には警備員を見下して挨拶すら返してくれない人もいます。また、ここの現場は常時5名の警備員で回しているのですが、同僚イジメも横行していて、私自身、業務に必要な〝報連相〟で除外されたり、評価を下げるような報告を本社にされたこともあります。仮眠中も、皆で使い回している不衛生な布団にくるまりながら、いびきや歯ぎしりといった騒音に悩まされていますよ」

 敵は外部からの侵入者のみならず。内部の対人ストレスも課題のようだ。

*週刊アサヒ芸能10月20日号掲載

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