「エリザベス女王」国葬で評判を上げた人・下げた人

 日本時間で9月19日の19時頃から行われたエリザベス女王の国葬には、各国から2000人の要人が参列。日本からは天皇・皇后両陛下が列席した。

 多くの要人が訪れて警備が大変な中、天皇・皇后両陛下は午前10時に宿泊先ホテルを出発、王立病院の敷地内で乗り合いのシャトルバスに搭乗された。天皇・皇后両陛下をはじめ、アメリカのバイデン大統領やフランスのマクロン大統領らは特別扱いで専用車の使用が認められると見られていたが、両陛下はあえて「例外」を固辞されたものと思われる。まさにお人柄がうかがえるエピソードだ。ところがあくまで「例外」に固執せざるを得ない立場の人もいて、バイデン大統領やイスラエルのアイザック・ヘルツォーク大統領ら数名は「例外」の専用車を使用したという。

「バイデンに関しては、アメリカが『バスに乗るバイデンを想像できるか!』と、特別扱いを主張。渡英も専用機よりは民間旅客機が推奨された中、全てアメリカ仕様での訪英となりました。ただ葬儀の席順となると、最前列のロイヤル・ファミリー、その後ろに英連邦トップ、そして旧植民地の緩やかな連邦諸国、さらに連邦以外の国の順で、バイデンは14列目。棺を挟んだ向かい側に、両陛下を含む各国の王室らが参列しており、バイデンはある種の“末席”扱いでした。世界のトップとは言いつつ、ロイヤルではない。まあ、面目は保ちつつ、扱いは特別ではない。妥当と言えるところでしょう」(週刊誌記者)

 と、世界各国から要人を招くに当たっては、様々な面に気を回す必要があって、逆にそこでは招かれた側の“人間性”が垣間見られる場合もある。参列で名を上げたのは元サッカーイングランド代表のデイビット・ベッカムだ。一般公開されている弔問には続々と市民が訪れて長蛇の列をつくっていたが、ベッカムはVIP扱いを拒否し市民とともに12時間並んで最後の挨拶を行った。これがニュースで報じられると、SNSでは賞賛の声がひっきりなしだった。

 ところが全く逆だったのが、民間放送では最古のルーツを持つITVの名司会者2人。日本で言えば日本テレビ系列の宮根誠司や徳光和夫といったところか。彼らは行列に並ぶことなくウェストミンスター寺院に入ったことでバッシングを浴びた。「取材のため」と反論したが、「謝罪しろ」「番組をもう見ない」と世間は許さなかった。
 
 国際政治で言えば、中国も“らしさ”を発揮している。中国は習近平国家主席の代わりに王岐山国家副主席が列席したが、代表団を弔問に行かせようとして最終的には受け入れられたものの、一時は英下院議長がウイグルの人権問題を理由に中国訪問団の弔問を拒否する姿勢をみせていた。“お呼びでない”けどせっかく来たからということだろう。
 
 その中国を笑っていられないのが、わが日本だ。岸田首相が葬儀へ出席する意向を示し検討するとしたものの、日本では「招待されてない」とのツッコミを受けていた。

 なにはともあれ、有事にこそ人間性が窺われるものだ。

(猫間滋)

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