エリザベス女王は何度も命を狙われていた!? 驚愕事実と警護先進国の実態

 9月8日午後6時半(日本時間9日午前2時半)、静養先の英スコットランド・バルモラル城にて96歳で崩御したエリザベス女王。

 1952年に25歳で即位して以来70年。イギリス他14カ国の英連邦王国及び王室属領・海外領土の君主、またイングランド国教会の首長としてその重責を担ってきたが、半面、皇室不支持派から命を狙われたこともあったという。

「有名なのは1981年10月14日、ニュージーランドのダニーデンを訪問していたエリザベス女王とフィリップ殿下が、当時17歳だった元受刑者にライフルで狙われた事件です。この事実は、97年に記された国家情報局の文書で明らかになったものですが、元受刑者はビルの5階にあるトイレの個室に隠れ、車でパレード中の女王に向けてライフルを発砲。幸い、銃弾が女王に届くことはなく、元受刑者にはライフル不法所持と発砲の容疑がかけられ、懲役3年の実刑判決が下り、釈放後もニュージーランド当局による監視を受けることになったといわれています」(国際情勢に詳しいジャーナリスト)

 さらに直近では、昨年のクリスマス、エリザベス女王が滞在していたウィンザー城にマスクをしてクロスボウを持ち「女王を殺しに来た」と話す男が警備員に取り押さえられ、反逆罪で逮捕・起訴される事件があった。

「女王は多くの英国民に尊敬され親しまれていましたが、大英帝国の象徴として英王室に憎しみを向ける輩が存在するのも事実。また、英王室は国民と驚くほど距離が近い。それだけに、皇室警備が重視されてきたといわれています」(同)

 英国では王室や公人のため身辺警護は4つのカテゴリーに分けられ、RAVECという委員会が、その選別を担っているというが、

「RAVECのメンバーには内務省や警察、王室などの代表が名を連ねており、英、米、加、豪、ニュージーランドで機密情報を共有する『ファイブアイズ』の情報を分析、脅威評価に基づいて警護レベルを4つのカテゴリーに分けているといいます。エリザベス女王とチャールズ皇太子(現国王)は、脅威の有無にかかわらず保護される最高位のカテゴリー1。ウィリアム王子については発表がないためどのレベルなのかはわかりませんが、ヘンリー公爵は20年3月末までカテゴリー2だったものの、王室離脱後には、ケースによって保護されるというカテゴリー3に移されたようです」(同)

 王室警護に当たるのは英陸軍特殊部隊で訓練を受けた王室警護班と、バッキンガム宮殿などに常在している近衛兵「コールドストリームガード」、そしてロンドン警視庁に設置された王室警護部署「ロイヤリティ・プロテクション・グループ」だ。

 日本では安倍元首相狙撃で、警備の問題点が問われているが、数々の危機を未然に防いだ警備先進国の英国を大いに参考にすべきだろう。

(灯倫太郎)

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