金正恩氏がエリザベス女王へ「祝電」の謎!核威嚇後のメッセージの裏にあるもの

 北朝鮮による7回目の核実験準備が完了したとされる8日、日米韓3カ国による外務次官協議が行われ、北朝鮮に対する対応が協議された。

 相変わらず核の脅威をちらつかせ、米国の気を引こうと躍起になっている北朝鮮の金正恩総書記。ところが一方、金総書記がエリザベス英女王の誕生日に祝電を送っていたことが明らかになり、その真意を巡りさまざまな憶測が飛び交っている。

「これは、北朝鮮外務省が2日にウェブサイトで明らかにしたことで、祝電で金氏は『陛下の誕生を公式に記念する日に際し、あなたと貴国の人民に祝賀を送る』と伝えたと言います。英国では現地時間の2日から、女王即位70周年と誕生日を記念する『プラチナム・ジュビリー』が始まっていたので、この日に合わせたのでしょうが、北朝鮮と英国とは国交関係にあるものの、英国が米英豪3カ国安全保障枠組み(AUKUS)や、英語圏の機密共有同盟『ファイブアイズ』の一員として米国と密接な関係にあることを公に非難してきたこともあり、両国の関係が良好とは言い難い。そのため韓国情報筋の間でも、今回の祝電には何か裏があるのでは?といった観測が飛び交ったようです」(北朝鮮問題に詳しいジャーナリスト)

 北朝鮮と国交関係がある国は現在163カ国。うち、北朝鮮が在外大使館を置いているのは47カ国で、北朝鮮に大使館を置いているのは24カ国。主要7カ国(G7)のうち、両国に大使館があるのは英国とドイツだけ。そう考えると、突然の祝電もごく自然な外交儀礼で、特別なメッセージではないとも思えるのだが……。

「北朝鮮では、先月には新型コロナウイルスの感染が急拡大。ただ6日の朝鮮中央通信によれば、4月末以降、全人口約2600万人の16%にあたる413万人が発熱したものの、97%はすでに全快。死者も71人で、ここ1週間は1日当たりの新規発熱者が6万〜9万人台を推移し死者もゼロと、状況は落ち着きつつあるようです。とはいえ、なにせ北朝鮮の公式発表ですから、すべてを鵜呑みにすることは出来ない。韓国情報筋も『減少方向にあると推定できるが、数が正確とは信じられない』として、推移を見守る状況が続いています」(同)

 そんなタイミングとあって、韓国内のSNS上では《金総書記の単なる気まぐれだろう》《北朝鮮が『正常国家』であることを認識させるためじゃないか?》といった声に交じり、《やっぱりワクチンがほしいのかな?》《効果のない中国ワクチンはいらないから、かわりに英アストラゼネカ製のワクチンを送ってもらいたいんじゃないか》といった声も。

「北朝鮮は、80年代の東西冷戦のさなか、突然、英国のダイアナ妃やテニスのシュテフィ・グラフ選手の切手を発行し、英国大使館関係者を驚かせたことがありますが、この時の理由も、単なる西洋コレクターへのアピールだったようです。そう考えると、今回の祝電も、単なる思い付きの外交儀礼とも考えられるものの、プロパガンダに利用できるものはなんでも使う国ですからね。結局、真意のほどはわかりません」(同)

 噂が噂を呼んだ祝電騒動、その真相は金総書記のみぞ知る、ということか。
 
(灯倫太郎)

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