今永昇太は今季11勝目をかけた9月19日の巨人戦でしくじったが、大貫晋一は前日の同カードで自己最多となる11勝目を挙げた。
「最多勝レースを独走していた阪神・青柳が6戦連続勝ち星ナシ(19日時点、以下同)となり、タイトル争いは13〜14勝まで落ちてきました。ベイスターズは残り試合がもっとも多く、大貫、今永にもタイトル獲得の可能性は十分にあります」(スポーツ紙記者)
DeNAは、14試合を残している(同時点)。最多勝争いは12勝の青柳、巨人・戸郷がトップ。「残り試合」の利点で大貫か今永が獲得した場合、1993年の野村弘樹以来となる。28年も同タイトルから遠ざかっていたのはちょっと驚きだが、今季のDeNA投手陣には“異変”が見られた。
「大貫は自ら三浦大輔監督にお願いし、カットボールを習得しようとしていました」(関係者)
今永にしても、自主トレ期間中にも巨人・菅野に投球フォームをチェックしてもらっていた。向上心だろう。こうした意識改革はDeNA投手陣全体に見られたという。
「昨季は最下位でした。打線は3割バッターを4人も出したのに、チーム防御率は4.15。4点台は12球団で唯一です。その屈辱が投手陣全体に火をつけました」(前出・同)
春季キャンプに遡るが、初日から今永、大貫、濱口遥大、山﨑康晃ら主力投手がブルペン入りしていた。
「『1DAY・Thema』というものが貼りだされていました。1日ごとに課題があって、それをノルマとしてこなすのではなく、たとえば『ストレートのみ』と書かれていたら、その再現性、修正力を求められました。それと並行して、新しい変化球もマスターしよう、と」(前出・同)
こうした意識改革、練習の取り組み方を変えた効果がすぐに出たわけではない。快進撃を見せたのはシーズン中盤、また、新しい変化球が試合で使えるようになったのも終盤戦になってからだった。
「ヤクルト内には『クライマックスシリーズで一番やりたくないチームはDeNA』との声も出ています」(前出・スポーツ紙記者)
93年以来、三浦監督も届かなかった最多勝をゲットすれば、その勢いでDeNAが“奇跡”を起こすかもしれない。
(スポーツライター・飯山満)