いまウクライナでは、ロシアの兵力や兵站の補給が遅れる中、ウクライナ軍が東部や南部において攻勢を強めている。そして双方がシノギを削る戦場の最前線では、なぜか柴犬の活躍が目立っているのだとか。
「8月28日にウクライナ国防相のツイッターアカウントのアイコンが、燃え盛る橋の上に立つスーツ姿の柴犬に差し替わりました。ほかにも、エストニア元大統領が、戦車の砲台に跨ってPCを広げてサイバー戦を行う柴犬のコラ画像をツイッターに上げたり、米共和党下院議員が軍服を着た柴犬の画像を投稿し『この男は君の友達。彼は自由のために戦っている』とつづるなど、柴犬を対ロシアの象徴として用いる動きが広がっています」(週刊誌記者)
つまり、ウクライナの戦いとこれを応援する世論の間では、ネットやSNSの電脳戦でもロシアのプロパガンダに対し、柴犬のミーム(キャラクター)を用いて「ユーモア」で対抗しているのだという。確かにかわいい柴犬が戦っている姿を見れば、自然と頬が緩んで応援したくなるというものだ。
そして、この柴犬のミーム拡散に大きく寄与しているのが、NATO(北大西洋条約機構)をもじったNAFO(北大西洋フェロー機構)なるシャレの利いたオンライン上での集まりだという。
「元々はジョージアの志願兵グループへ寄付を募る際に柴犬をコラージュして使ったところ、これがきっかけで反ロシアのミームとして柴犬が広がったと言われています」(同)
海外での柴犬人気と言えば、イーロン・マスクがしばしばツイートで取り上げていた暗号資産「ドージコイン」のロゴが有名。日本人にしてみれば「なぜ柴犬?」となるが、アメリカで柴犬人気が広がったのは、09年に公開された米映画『HACHI 約束の犬』がきっかけといい、あのコロコロとした姿が海外で人気になったという。もちろんこれはハチ公の話なので正確には秋田犬なのだが、秋田犬はすぐに大きくなるため、『HACHI』では子供時代を柴犬が演じたのだとか。
また台湾では、これより先に、柴犬のミーム「総柴」が衛生福利部の広報犬となり、コロナにまつわるデマが拡散するのを防止するために活用された前例もある。もともとは、日本発の柴犬が世界の各所で活躍しているというのだから、日本人としては嬉しい気分になる。
(猫間滋)