保険証の次は免許証も統合「マイナンバーカード」の“マルチ化”が恐れられる理由

 河野太郎デジタル相は9月4日、「日曜報道ザプライム」(フジテレビ系)に出演し、マイナンバーカードの普及推進に向け運転免許証との一体化を積極的に推し進める考えであることを明らかにした。しかし、これには否定的な意見が相次いでいる。

 番組で河野氏は「マイナポイントはありがたいが若干邪道なところがあって…」と述べ、「マイナンバーカードを持つことで世の中がこんなに便利になります。生活も便利になります。というのがあくまで王道」と利便性を高めることの方が重要と説明。その一つとして「いずれの段階で、免許証ですよというようにやらざるをえない」と、マイナンバーカードと運転免許証の統合を進める考えを示した。マイナンバーカードはすでに健康保険証として利用できる「マイナ保険証」もあるが、さらに運転免許証も一体化させるというわけだ。

 しかし、これにネット上では《利便性って言うけど、財布に入っている2枚のカードが1枚になるくらい。むしろ紛失した時のリスクの方が高い》《色々と機能を集約させたマイナンバーカード紛失したらヤバすぎだろ。そもそも必要性がないから普及しないということがなぜ理解できなのか》《健康保険証は2年ごと、運転免許証は3年または5年ごとに更新が必要だけど、そのたびにカードを作り変えるの?利便性とは一体…》《そもそもマイナンバーカードって社会保障や納税の確認のために作られたものだったはず。普及させることを目的にごちゃごちゃ余計なものを付けすぎ》など批判が相次いでいる。

「8月25日、寺田稔総務相がマイナンバーカードの交付件数が6303万枚となり、普及率がようやく50%を超えたことを明らかにしています。今年度末までにほぼ全国民にマイナンバーカードが行き渡ることを目標としていますが、どう考えても難しいので、運転免許証も付けてしまえということなのでしょう。しかし、免許証を一体化させる利便性もイマイチ伝わらず、それより紛失や盗難、または個人情報の漏洩などのリスクの大きさを感じる人は多いようです」(フリージャーナリスト)

 近年、年金の入力業務を海外の事業者に委託していたり、市民の個人情報が入ったUSBを再委託先の社員が紛失したりと、お役所のずさんな個人情報の扱いが目立っている中、運転免許証の一体化もマイナンバーカード普及の決定打にはならないかもしれない。

(小林洋三)

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