今年7月からスタートしたMBSラジオ「尼のよりんの朝の説法千本ノック」(月、火曜午前5時)に出演、その歯切れよい語り口から“令和の瀬戸内寂聴”と呼ばれる尼僧が、野寄覚令(のより・かくりょう=通称のよりん)さんだ。
野寄さんは、水商売や高級ピンク嬢を経て2020年に出家。その後、女性を中心にあらゆる相談を受け続け、その数は1万件以上に上るといわれる。
「いずれの回答も相談者の立場に全く同情・同調することなく、『本当に必要なこと』のみを淡々と答えているのですが、その毒舌説法が話題になり、インスタグラムのフォロワー数はあっと言う間に4万人超え。関西を中心に熱狂的なファンが増え続け、それがラジオの冠番組へとつながったようです」(スポーツ紙記者)
さらに、7月下旬には初の著書「だから、あなたは愛されないの。」(光文社刊)を出版。いまや「第2の寂聴」としてメディア出演が広がりつつある野寄さんだが、自らが語るところによれば、父親が事業を営む裕福な家庭で育つも、幼少期から虐待を受けてきたのだとか。著書の冒頭、彼女は自身のプロフィールをこう綴っている。
《私は幼少期から両親の小競り合い、暴走、暴言、殴り合いをずっと間近に見てきて、男女とは‥‥を考え始めた年齢は5歳頃でしょうか。さらにぶっちゃけますと、その結果、家庭崩壊して、一家離散し、十代で自分の力で生きていかなければいけなくなった結果、『宗教法人 水商売』に入信しまして、ジャンルとしても最後の砦である、例のあの泡泡ランドに所属していたこともあります》
20歳で結婚、しかし23歳の時には離婚。その後、実業家である現在の夫と知り合い、先に夫が出家することになり、師僧からは結婚も勧められ、17年に再婚。20年に得度式を行い出家。現在の肩書は真言宗密教、在家の尼だが、2歳女児と1歳男児の母でもある。
そんな波乱万丈、紆余曲折の人生を辿ってきたからこそ導き出せる、的確かつ切れ味鋭いワードセンス。著書の中で彼女は《この本は、人生という海で溺れるあなたが、最後に掴む藁であり、私はその踏み台です》として、こう綴っている。
《これまで多種多様な男と女を見てきましたし、千差万別な珍事とも、山ほど遭遇してきましたね。また出家してからは、1万件以上の方のご相談に乗り、ひどい時は妻と夫、さらにその親それぞれが個別で相談をしてくるという、ナニコレ珍百景みたいなこともありました。(略)ゆえにあなたの不幸という不協和音に一切の感情移入もせず、淡々と幸せという方向性にベクトルを調律しようと思っています》
インスタでもオンラインサロンでも、常に「愛と笑いの〜」を強調。言葉はきついが、そのぶん心に届く“のよりん”説法。悩んだ時には一度触れてみる価値、アリかも。
(灯倫太郎)