がん、パーキンソン病、認知症説はどこへ…結局、プーチン氏の健康状態ってどうなの?

「あきらかに顔がむくんでいる」「がん、しかも血液性のがん」「足を引きずっている」「手の震えを抑えるためにテーブルの端を握っている」‥‥。

 これまでロシアのプーチン大統領に関する健康不安説は、数少ない人前に出てきた機会のさまざまな異変を捉えて云々されてきたが、結局のところ何が正しくて何が正しくなかったのかは分かっていない。4月にがんの手術をする予定だったのが5月に延期されて、5月9日の対独戦勝記念日後に受ける、といった説は具体性をもって語られたが、もともと「2、3日の入院で済む」との話でもあったので、確認は難しい。正しかったものもあったのかもしれないし、単なる状況証拠でしかなかったかもしれない。

「ですから7月20日にアメリカCIA(米中央情報局)のウィリアム・バーンズ長官が、プーチンを評して『健康過ぎる』と冗談交じりに言ったのは本音で、結局は諜報として裏が取れたものは無かったと言っているのではないでしょうか。そしてこれはあくまで私見であって、『CIAとしての分析ではない』と但し書きまで付けたような言い方をしているのが、まさに大統領の健康状態に関するクレムリンの高い壁がいかに情報を取る上で障壁になっているかを語っているような気がします」(週刊誌記者)

 まあ確かに、諸々の健康不安説が当たっているならプーチン氏はもう死んでいてもおかしくない。だから、現在のプーチン氏に「影武者」説まで出てきたのも逆に頷ける。

 そして実際、プーチン氏は内に籠るだけではなく、外交も精力的にこなしている。6月28日には友好国のタジキスタンにウクライナ侵攻後初の外遊に出かけ、7月19日にはロシアとイラン、トルコの3国がシリア情勢について語り合うサミットに参加するためにイランの首都テヘランを訪れた。

 サミット後にはトルコ・エルドアン大統領と2者会談を行ったが、この時、大幅な遅刻魔で有名なプーチン大統領が、会場入りが遅れたエルドアン大統領に約50秒間待たされるという珍しい場面があって話題となった。ロシアの現在の立場を象徴するとの見方もあるが、プーチン氏にそれだけの余裕があると見ることも出来なくはない。

「クレムリンが過去に1度だけプーチン大統領の不調を認めたことがあります。12年に足を引きずって公務を休んだ時で、その直前にはモーターハングライダーで空を飛んでいたのでそれでちょっと体を痛めたのではないかとの話もあって、逆に元気すぎるがために招いたケガでしょう」(同)

 結局、不安はあるが現状は健康。仮に何かあったとしても把握は困難。というのが実際なのではないか。

(猫間滋)

ライフ